段ボール箱の設計によって、積載効率を向上させたり、コストダウンを図ったりすることが可能です。その設計ノウハウについて、お探しの方もいるのではないでしょうか。
今回は段ボール箱の設計に必要な基礎知識の他、段ボール箱設計の基本的な手順と必要な機能、成功させるポイントを解説します。ぜひ段ボール箱の設計による課題解決に取り組みましょう。
段ボール箱の設計とは?必要な知識を解説
大切な商品や材料を梱包する最適な段ボール箱は、段ボール箱の適切な設計によって実現します。ここでは段ボール箱設計の基礎知識をご紹介します。
段ボール箱の設計とは?
段ボール箱の設計とは、段ボール箱に梱包する内容物や輸配送環境を考慮し、箱の寸法や梱包仕様を取り決めることを指します。ただ箱を設計するだけでなく、目的や内容物に応じて、内部に入れる個装箱や仕切り、緩衝材、固定材なども含めて設計します。
段ボール箱の設計を行う目的は、主に次の点が挙げられます。
・輸配送時の内容物の破損防止
・配送・包装コスト効率化
・梱包や開梱作業の効率化
・配送先店舗の段ボール箱陳列による販売促進
段ボール箱の設計は、これらの目的を踏まえて、内容物に合わせた寸法、強度、印刷、形状などをオーダーメイドで作りたいときなどに行います。
段ボール箱の寸法の基礎知識
段ボール箱の設計で欠かせないのが、寸法です。
・表記方法
【長さ(長い辺)】mm×【幅(短い辺)】mm×【高さ・深さ】mm
寸法は、内寸法と外寸(罫線寸法)と外寸法を押さえておく必要があります。
内寸法
外寸(罫線寸法)
外寸法
内寸法:箱の組み立て後の内側サイズ。実際に商品を入れるスペースの寸法です。
外寸(罫線寸法):段ボール箱を組み立てる前のシート状の状態で測るサイズです。
外寸法:組み立て後の段ボール箱の外側のサイズです。
内寸法は、箱の「有効寸法」である必要があります。有効寸法とは、商品が箱に収まる寸法を指します。そのために商品サイズよりも長さ、幅、高さそれぞれに5~10mmずつ足すなどして「余裕寸法」を設定します。
段ボール箱設計を専門業者に依頼する際には、これらの寸法を正しく理解した上で行うことで、適切な指示を出すことができます。
段ボール箱設計の基本的な手順
続いて、段ボール箱設計の基本的な手順を見ていきましょう。
1.包装設計要件の確認
まず包装設計の要件を確認します。包装設計とは、段ボール箱に入れる内容物の特性や形状を踏まえて、最適な包装仕様や寸法を設計すること全般を指します。この包装設計は、目的や内容物、輸配送、保管の状況によって要件が変わるため、まずは要件を確認し、足りなければ定める必要があります。
2.寸法設計
内寸法、外寸、外寸法などの寸法設計を行います。内容物が入るかどうかはもちろんのこと、出し入れしやすいか、耐荷重、緩衝材の必要性などを加味して設計します。
3.形状の設計
次に形状を設計します。箱の形状は内容物や目的に最適な仕様にします。
4.強度に基づく段ボールの決定
最適な段ボールを選定するために、材質や厚みなどを決定します。
5.コスト試算
全体のコストを試算し、予算内に収まるように調整します。
6.包装仕様の決定
全体の包装設計とコスト調整の結果、包装仕様として最終決定します。
7.包装試験、輸送試験
実際に段ボール箱を設計し、試験を行った上で、問題がなければ実運用や量産を行います。
段ボール箱に必要な機能
段ボール箱の設計時に考慮すべき、必要な機能を見ていきましょう。
保護性
段ボール箱の最も重要な目的は、内容物を破損せず無事に運ぶことです。そのため、内容物が保護できるかどうかが問われます。
もともと段ボールという素材は、紙でありながら、フルートと呼ばれる波形状で作られているため、それがクッションの役割を果たし、緩衝性は高いといえます。また段構造になっているため、縦方向に強い耐圧性を持ちます。これらを踏まえた上で、内容物の壊れやすさなどに応じて仕切りや緩衝材を入れるなどして、確実に保護性を持たせる設計を行います。
運搬性
運搬性とは、持ち運びにおいて利便性が高いかどうかを指します。例えば、商品の入った段ボール箱を人が持ち運びできるかどうかを検討します。重量の大きいものは運搬性を高めるために、段ボール側面に持ち手を打ち抜くなどして工夫します。
美粧性・販促性
美粧性とは、段ボール箱の外観デザインを指します。用途によっては小売店で段ボール箱ごと展示することがあるため、段ボール箱の形状や外面への印刷などを行うことがあります。シェルフレディパッケージと呼ばれる、店頭陳列しやすいよう、ミシン目がついており、簡単に開封できる段ボール箱もあります。このように、見た目や陳列のしやすさも設計要件として盛り込むことができます。
耐水性
水分が発生する食品などの内容物の場合、段ボール箱の内部に耐水性を持たせることも可能です。例えば、日本トーカンパッケージの「たもっちゃん T-WP」は、水産物・冷凍品・青果物などに対応するために、段ボール材に特殊な加工を行うことで優れた耐水性を持たせています。
段ボールは一般的に表ライナーと中芯と裏ライナーの三層構造でできていますが、この製品は各ライナーに樹脂をラミネートすることで耐水性を実現しています。
【関連リンク】
段ボール箱設計を成功させるポイント
荷主企業が、自社商品を梱包する段ボール箱の設計を成功させるポイントをご紹介します。
目的や内容物に応じた精密設計
段ボール箱の設計は、ビジネス課題を解決するのが目的であることを前提としましょう。ただ内容物に合うという観点だけでなく、「積載効率向上」「包装コストダウン」「破損防止」などの目的を設定することで、利益につながる設計が可能になります。
また段ボール箱は内容物によって強度や耐久性を高めるパターンがいくつかあります。そのようなパターンをよく知る、段ボール箱設計の実績と設計力のあるプロに依頼するのをおすすめします。
設計から制作まで一気通貫の対応が可能なパートナーの選定
プロに設計を依頼する際には、設計単体で依頼するよりも、その後の段ボール箱の制作まで一気通貫の対応が可能な業者を選ぶのをおすすめします。
その際、段ボール箱を製造する設備やノウハウが充実した業者であれば、より自社の要望に合ったものを制作してもらえるでしょう。
包装システム導入までを含めた提案
ただ単に設計・製造後の段ボール箱を納品してもらうのではなく、安定的に生産できる包装システムまで提案してくれる業者を選ぶのもポイントです。最適な段ボール箱を作った後に、社内で効率的な運用ができるかどうかも重要であるためです。
まとめ
段ボール箱の設計は、目的に基づき、手順を踏んで適切に進めることにより、課題解決および目的の達成が可能になります。成功させるには、目的や内容物に応じた精密設計、最適な設計・制作パートナーの選定、包装システムも含めた体制作りがポイントです。
日本トーカンパッケージでは、段ボール箱の設計をはじめとしたパッケージ総合支援を行っております。段ボールの製造・販売・包装設計及びデザイン・包装試験・包装システム設計・システムの設置・保全を連動し、一気通貫の幅広いご対応が可能です。
また包装システム導入までを含めたご提案と共に、業種問わず低コスト・高品質のパッケージと省人化を実現する方法のご提案も行っております。
段ボール箱の設計についてお困りの方は、ぜひお気軽にご相談ください。






