段ボールパレットとは?
木製・プラ製との比較と
ニーズが増加する理由をご紹介

近年、物流業界ではプラスチックパレットや木製パレットの使用に課題があり、代替となる段ボールパレットに期待が集まっています。SDGsにも貢献できることから、段ボールパレットは今後の活用の可能性が広がっています。今回は、段ボールパレットとは何か、段ポールパレットが注目されている背景、従来から使われている主なパレットの種類を踏まえた上で、段ボールパレットの特長を解説します。

1.段ボールパレットとは

段ボールパレットとは

1-1.物流用パレットとは

物流用パレットとは、商品そのものや、商品が格納された段ボール箱等を置く台のことです。

物流に利用するパレットは、荷役、輸送、保管の工程で利用されています。
一つの単位にまとめて商品を置くことで、移動や搬送の際により多くの貨物をまとめて荷役することが可能です。

また、一時的に保管する際にも、省スペース化になります。物流パレットには、通常、フォークリフト(荷役自動)で持ち上げやすいように、商品を載せる面の両側には差込口があり、容易に移動が可能です。

さまざまな作業に関わることから、構造や材質は強固であることが前提条件となっています。

1-2.段ボールパレットとは

段ボールパレットとは、その名の通り、段ボール製のパレットを指します。

パレットは従来、プラスチック製や木製が使われてきましたが、近年はダンボール製に注目が集まっています。

2.物流用パレットの種類

物流用パレットには、形状や材質などの観点から、さまざまな種類があります。
形状については、平たい平パレットや、箱状に囲われたボックスパレットなどがあり、用途に応じて適したものが使い分けられています。

2-1.木製パレット

商品がすべらず、補修が容易などのメリットがあるものの、近年の木材不足により利用し続けることに懸念が生まれています。

【メリット】
メリットは、サイズや加工を自由に指定できる、強度や寿命に優れる、プラスチックと比較して低価格、荷積みや輸送の際にスリップしにくい、 補修しやすい、高温になっても強度が落ちず低温になっても割れにくい、静電気が発生しにくい、結露しにくい、化学変化が起こりにくい点などがメリットです。

【デメリット】
重量が大きい、木くずやささくれが出ることがあるのでケガの恐れがある、湿度が高いとカビが生えることがある、重量・寸法にバラつきが出る、輸出の際には害虫が発生する可能性があるため熱処理(燻蒸)が必要となる、匂いが製品につきやすい、産業廃棄物として処理する必要がありコストがかかるといったデメリットがあります。

2-2.プラスチック製パレット

耐水性が高く、軽量で洗いやすいというメリットがある一方、近年の環境負荷の懸念からプラスチック製は、木製や紙製へと代替されつつあります。

【メリット】
プラスチックは洗浄が容易、木製パレットと同強度であれば軽量である、カビにくく衛生的に保てる、耐水性や耐久性に優れる、重量・寸法にバラつきが少ない、木くずなどがないことから安全性が高い点などがメリットです。

【デメリット】
オーダーメイドするとコストが高くなる、補修がむずかしい、木製に比べ積み荷やフォークとスリップしやすい、高温になると強度が下がり、低温になると割れやすくなる、脱プラスチックの動きが国際的に強まってきていること、廃棄の際には産業廃棄物としてコストがかかることなどがデメリットです。

2-3.金属製パレット

強度が高く、耐久性に秀でています。一方、重量が大きくなり、すべりがちで、補修が困難などのデメリットもあります。

【メリット】
金属製パレットの最大のメリットはその耐久性にあります。木製パレットと比較して、金属製パレットは耐久性が高く、長期間使用することが可能です。また、金属製パレットは衛生的なのも大きなメリットです。木製パレットは湿度や温度によりカビや虫害のリスクが増えますが、金属製パレットはそれらの問題を心配する必要がありません。

【デメリット】
金属製パレットは他のパレットに比べて重量があり、すべりやすいことが特徴として挙げられるため、取り扱いには注意が必要です。また、金属製パレットは価格が高いという点もデメリットとして挙げられます。

2-4.段ボールパレット

強度面では、他の材質に劣るものの、一般的な重量の貨物であれば、安定的に運搬が可能です。省資源、環境に優しいという観点から段ボールパレットへの期待が高まっています。

【メリット】
段ボール製パレットの一番の特徴は軽量だということです。特に木製パレットや金属製パレットと比べ軽量であることから、物流コストの削減が期待できます。段ボールはリサイクル性の高い素材であり、環境に優しい素材です。また、段ボールパレットは産業廃棄物としてではなく通常の段ボールとして廃棄できます。段ボールはリサイクルシステムが確立されており、リサイクル率が95%以上の環境に優しい素材です。

また、段ボール製パレットは、片道のみのワンウェイ輸送用途に適しています。つまり回収しない前提でパレットを使用するのに適しています。メリットとしては、回収、洗浄不要となりますが、一方で毎回購入が必要となります。他のパレットと比較し購入のコストが安いことが特徴として挙げられます。

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【デメリット】
段ボールは紙製であるため、水や湿気に弱いことは避けられません。雨にさらされる恐れのある野外保管がむずかしいため、倉庫が必要になります。

3.段ボールパレットの気になるを解消!耐久性、強度、コストへの影響は?



先述のように、プラスチックパレットや木製パレットに代わる優れたパレットの材質として注目されているのが、段ボールパレットです。段ボールパレットといえば、耐久性や強度、コストへの影響が気になるところではないでしょうか。特徴を見ていきましょう。

3-1.段ボールパレットの耐久性

段ボールの耐久性について、不安に感じられることもあるでしょう。段ボールの素材は古紙です。そのため水に弱く、繰り返し使用する環境に弱いのが特徴となります。

この耐久性をカバーするために、一度しか利用しないワンウェイ輸送には最適といえます。特に木製パレットのように熱処理を行う必要はありませんし、廃棄しやすいメリットは大きいものです。

また段ボールは、使用後にリサイクルに回すことができます。これにより環境貢献につながります。

3-2.段ボールパレットの強度

段ボールパレットは、強度の点で不安があるかもしれません。

日本トーカンパッケージの「CFGパレット」なら垂直耐荷重2t以上であり、強度の面で安心して利用できます。

CFGパレットとはCFG(Cushion Flexible Gliuer)という段ボールの積層作業を自動成型する加工技術によって作られた段ボールを活用したパレットです。桁を複数組み上げることで、桁同士が支えあうため、強度の安定化を実現しています。

3-3.段ボールパレットのコスト

段ボールパレットのコスト面が気になることもあるでしょう。段ボールパレットは、木製パレットやプラスチックパレットより安い単価で製造できます。また、製造時には発注からのリードタイムが短いのもメリットです。

また使用時においても、段ボールパレットはコストを軽減できます。一枚当たり約6kg程度と他素材のパレットと比較すると軽量であるため、重量単位で運賃が発生している場合には、パレット重量が減少することから、輸送費の圧縮につながります。

さらに段ボールパレットは、パレットの移動や積み替え時の取り扱いがしやすいことから、物流業務のスピード向上にも寄与する可能性があります。

3-4.自由度の高い包装設計

段ボールの高い加工性を活かし、ご使用の方法に合わせた差込口に成形することが可能です。フォークリフトのご使用用途に合わせて、単面型・四方差し、ハンドリフト対応など、柔軟な設計が可能であることが特徴です。

特にプラスチックパレットでは、パレット作成の為に専用の金型を作成する必要があり、大規模な輸送量には問題ありませんが、中小規模の輸送量の場合には金型作成コストの面からも、段ボールパレットに優位性があります。

自由度の高い包装設計

3-5.パレット一体型のオール段ボール集合包装が可能

前述のメリットに加え、段ボールの高い加工性を活かし、発送する製品を梱包まで合わせて、集合包装化することで、梱包作業の時間短縮や輸送効率向上を図ることが可能です。

パレット一体型のオール段ボール集合包装が可能

3-6.軽量で取り扱いがしやすく、運賃メリットも

木製・プラスチック製パレットが約30㎏のところ、同型の段ボールパレットでは約6㎏と軽量で、パレットの移動や積み替え時の取り扱いが容易です。

また、重量単位で運賃が発生している場合には、パレット重量が減少することから、物流費の圧縮に繋がります。

軽量で取り扱いがしやすく、運賃メリットも

4.段ボールパレットが注目されている背景

段ボールパレットが注目されている背景として、主に次の点が考えられます。

①ウッドショックで木材供給に不安がある
ウッドショックとは、2021年頃から顕著となってきた、木材需要の高まりや貿易の停滞などによる木材価格が不安定化している状況を指します。 現在、日本国内においても特に輸入木材、合板について、供給不足や価格高騰が続いている状況です。そのため、パレットに使用される木材の供給にも不安が生じています。この状況は長期化すると見られています。

一方で段ボールは日本国内の回収率が95%以上を誇ることから、供給は安定しているといえます。


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②日本の輸出需要増加によるワンウェイパレット増加
日本の輸出需要は増加傾向にあり、ワンウェイパレットが増えています。ワンウェイパレットとは、発地から着地までの輸送の片道のみ利用し、回収しない前提のパレットのことを指します。

回収しないため、輸出先で使い捨てしやすいパレットが適しています。また廃棄の観点から地球環境にできるだけ負荷のない、資源化できる素材が求められます。

このワンウェイパレット用途にも段ボールは適しています。リサイクル性が高いほか、設計・生産から使用、使用後の廃棄物処理を工夫することで廃棄物を最小限にし、原料・製品の価値を保ったまま循環させ続けられるという循環型経済の基本的な考え方を実現している素材です。


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③国際的な「脱プラスチック」意識の高まり
近年は、環境負荷を低減するべく、欧米諸国を中心に脱プラスチックの意識が高まっています。それを受け、日本国内でも生産と廃棄の過程で多くのCO2を排出するプラスチック製品の削減が求められています。

現在、利用率の高いパレットの一つであるプラスチックパレットに比べ、段ボールパレットはリサイクル可能な素材であるため、廃棄物の削減や再利用を促進することから、環境に優しい素材と言えます。そのため、プラスチックパレットの代替として期待されています。


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④SDGsへの貢献姿勢が求められる
企業は、国際的に持続可能な開発目標として提言されているSDGsの観点からの取り組みも検討しなければなりません。

SDGsで17個掲げられた目標のうち、12番目の「つくる責任つかう責任」としての廃棄物の大幅削減や、13番目の「気候変動に具体的な対策を」としての温室効果ガス削減に焦点を当てれば、段ボールは、優れたリサイクル性と低CO2排出量を実現する理想的な材質です。

段ボールは、大気中のCO2を取り込んで育った木材を原料とするため、自然界に存在するCO2の量に変動がないと見なされるカーボンニュートラルな製品といえます。


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5.SDGsにも貢献できる段ボール



段ボール製パレットは、先述の通り、リサイクル性が高いというメリットが注目されていますが、その背景としてSDGsの存在があります。

5-1.SDGsに向けた脱プラスチックの動き

SDGs(持続可能な開発目標)は、2015年、国連の持続可能な開発サミットにて、我々がこの地球で暮らし続けていくために立てられた2030年までに達成すべき目標です。17の目標(ゴール)と169のターゲットが設定されました。

その目標のうち、地球環境を守るために、CO2の排出量を削減することは、重要な目標の一つです。

CO2排出量を減らす具体的な方法のうち、生産と廃棄の過程で多くのCO2を排出するプラスチック製品の削減や見直しなどの脱プラスチックが国内外で強化されています。

5-2.SDGs目標「12.つくる責任 つかう責任」

脱プラスチックとして紙製や木製のものに代替することは広く行われていますが、その一つが段ボール製への代替です。
こうした取り組みは、SDGsの目標の一つである「12.つくる責任 つかう責任」に貢献します。

この目標は、生産と消費のあり方を検討することで、現在地球が抱えている環境や貧困などの課題を解決するという意味があります。そのためには少ない資源で効率よく生産し、廃棄物をできるだけ削減するために、できるだけ自然環境に優しいものを使うことが求められています。

リサイクルシステムが構築されている段ボールにパレットを見直し、代替することは、生産する立場の責任を果たす「12.つくる責任 つかう責任」への貢献につながります。

6.まとめ

段ボールパレットは、プラスチックパレットや木製パレットと比較して優位性が高い点が多く、物流関連の会社からの注目が高まりつつあります。

段ボールパレットのデメリットが気になる方は、デメリットをカバーしている日本トーカンパッケージの段ボールパレットの採用をおすすめします。

日本トーカンパッケージは、段ボールパレット「CFGパレット」を通じて社会課題解決やSDGs達成に貢献します。ぜひご検討ください。またご不明な点がございましたら、お気軽にお問い合わせください。

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