物流業界において頻繁に利用されているパレット。パレット輸送は、作業効率化や生産性向上のために多くの現場で利用されています。
その物流用パレットは、近年、主に環境配慮やコストの観点から素材選びに注目が高まっています。中でも段ボールで作られたパレットはリサイクル性に優れているため、環境に適応したパレットといえます。
今回は、段ボールパレットのメリットを、従来からよく使われてきた木製パレットやプラスチック製パレットと比較しながらご紹介します。
1.段ボールパレットとは?
段ボールパレットとは、段ボール素材の物流パレットです。物流パレットは荷物を置ける台座であり、フォークリフトやハンドリフトを用いて複数個まとめて荷物を運ぶことができることから、倉庫内の作業効率化やトラックの積載効率向上に寄与します。
●物流用パレットの種類
物流業界において使用されているパレットの素材別の種類には主に以下の3つがあります。
・木製パレット
木材でできたパレットです。強度や耐荷重の高さから古くから多く利用されています。
・プラスチック製パレット
プラスチックでできたパレットです。樹脂製パレットとも呼ばれています。軽量で洗浄可能なのでカビ・バクテリアなどの発生がなく衛生的である特徴を持ち、よく利用されています。
・段ボールパレット
段ボールでできたパレットで、その軽量性やリサイクル性、形状変更の柔軟性など多数のメリットから近年、木製やプラスチック製に代わる素材のパレットとして選ばれています。
●物流業界における段ボールパレットの重要性
段ボールパレットは世界的なウッドショックで木材供給に不安がある中、調達面にメリットがあります。また国際的な「脱プラスチック」意識の高まりを受け、リサイクル性の観点からも注目されています。
特に環境配慮が求められる昨今、段ボールは物流業界において将来性のある素材としての価値が認識され始めています。
【関連ページ】
>「今注目を集める段ボールパレットとは?SDGsにも貢献」
2.段ボールパレットのメリット
段ボールパレットのメリットを見ていきましょう。
●軽量
段ボールパレットは、紙製である点から軽くて取り扱いやすいメリットがあります。パレットを手作業で倉庫内を移動したいときにも、それほど力が必要ありません。
●強度アップなど柔軟性が高い
段ボールパレットは、紙製であることから、形状変更は手軽かつ柔軟に行えます。紙製は強度面で懸念が生じることもありますが、設計や材質選定により、強度や耐荷量を高めることもできます。
●廃棄コスト低減につながる
段ボールパレットは、紙製のためリサイクルできることから、処分する際にも産業廃棄物にはなりません。企業の使用済み段ボールは、古紙回収事業者が回収するのが一般的です。そのため、産業廃棄物にかかる処理コストが削減できます。
●環境への負荷が少ない
段ボールパレットは、リサイクル性が高いことから環境への負荷が少なく利用できます。国内の段ボールの回収率は約95%以上といわれており、リサイクルにより、段ボールは繰り返し再生されています。
生産と廃棄の過程で多くのCO2を排出するといわれるプラスチック製品の削減や見直しなどの「脱プラスチック」が世界的に進められる中、段ボールはプラスチックの代替として注目されています。
段ボールパレットは軽量であることから、トラックの積載重量も抑えられます。トラックの過積載状態による走行は、通常の積載量と比べてエンジンや車体への負担が大きい分、排気ガスが大量に排出されるといわれています。排気ガスは環境や人体への悪影響があることから、積載重量を減らす努力が求められており、段ボールパレットはその課題にも貢献するでしょう。
【関連コラム】
>「段ボールでSDGsに貢献~リサイクルの仕組みと企業メリット~」
3.木製パレットとの比較
段ボールパレットは木製パレットと比較するとどのような点が異なるのでしょうか。木製パレットの特性を踏まえた上で比較します。
●木製パレットの特性
木製パレットは、強度と耐荷重が高いのが特徴です。またプラスチック製パレットと比べて滑りにくいため、運搬しやすいメリットがあります。
部分的に破損したケースでも補修して再利用が可能です。高温や低温環境にも耐え得ることから荷物の種類や保管環境によってはメリットがあります。
【段ボールパレットとの比較】
●コスト比較
・導入コスト:導入コストは一概に比較できませんが、木製パレットはウッドショックの影響を受ければ供給面で不安が生じることもあり、木材価格が高騰する恐れもあります。
・処分コスト:木製パレットは、処分時には産業廃棄物として廃棄コストがかかります。また輸出先で処分する際には輸入貨物の検疫規制によって国際基準に則った熱処理・燻蒸処理が必要になることもあります。段ボールパレットはリサイクルでき、輸出時には熱処理・燻蒸処理が不要であるため、処分コストは低減できます。
●環境への影響比較
段ボールパレットはリサイクルできる点から、環境への負荷が低いといえます。木製パレットは近年、産業廃棄物として処理されていることから、廃棄物の増加につながり、環境配慮の点では懸念があります。
●取り扱いの容易さ比較
段ボールパレットは約3〜6kgと軽量であり、取り扱いやすい一方で、木製パレットは平均20kg前後と比較的重いため、取り扱いは比較的困難といえます。
●安全性比較
・ケガ:木製パレットは釘やとげ、ささくれなどが出ることから、積み荷を傷つけたり、作業員がケガをしたりする恐れがあります。その点、段ボールパレットはそれらの心配はありません。
・腐敗:木製パレットは、高湿度環境では腐敗やカビが発生し、不衛生になってしまいますが、段ボールパレットは高湿度環境での腐敗はありません。
4.プラスチック製パレットとの比較
続いては、プラスチック製パレットとの比較をご紹介します。プラスチック製パレットの特性を踏まえた上で比較します。
●プラスチック製パレットの特性
プラスチック製パレットは、主にポリプロピレンやポリエチレンを材料として作られており、軽量かつ強度が高いのが特徴です。木製パレットより耐久性に優れており、使い勝手が良いことで導入が進んだといわれています。
着色も自由に行えることから、豊富なカラーがあり、耐水性にも優れているため、使い方次第では利便性が高いでしょう。しかし世界的な脱プラスチックの高まりから、見直す必要が出てきています。
【比較】
●コスト比較
・導入コスト:導入コストは一概に比較できません。使う材料や形状により価格は変動します。
・処分コスト:プラスチックは処分時に産業廃棄物として処分コストがかかりますが、段ボールパレットはリサイクルできるため、処分コストが抑えられます。
●環境への影響比較
プラスチック製パレットは廃プラスチック類として廃棄するため、環境負荷が高いといわれています。段ボールパレットは処分時のリサイクル性の高さから、比較的、環境への負荷が低いといえます。
●取り扱いの容易さ比較
段ボールパレットは、一般的にプラスチック製パレットより軽量であることから、取り扱いは比較的、容易と考えられます。
5.比較結果からの段ボールパレットのメリットまとめ
各種パレットの比較結果を踏まえると、段ボールパレットのメリットは次の点が挙げられます。
●処分コストを抑えられる
●環境負荷が最も低い
●軽量で最も取り扱いやすい
●安全性が高い
●柔軟に形状変更でき、設計によっては強度と耐荷重も高められる
これらのメリットを踏まえて、段ボールパレットの利用や他パレットからの転換などをご検討ください。
6.まとめ
段ボールパレットのメリットや他パレットとの比較をご紹介しました。
段ボール素材は利便性が高く、環境貢献をしながら理想的な利用が可能であり、パレットとしても優れた点が多いことから、今後も物流業界で注目されていくと考えられます。
日本トーカンパッケージでは、段ボールパレット「CFGパレット」をご提供しております。形状変更など、柔軟にご対応しておりますので、ぜひお気軽にご相談ください。
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