
機械メーカーの方々にとって、機械製品の取り扱いには細心の注意を払っていることと思われます。特に機械製品の輸送においては、破損を確実に予防し、品質保持に努める必要があります。
今回は、機械製品の輸送における課題から、解決策としての段ボール梱包と段ボール緩衝材のメリットと具体例、段ボール活用で機械を安全に輸送した事例をご紹介します。
機械製品の輸送における課題

機械製品の輸送シーンにおいては、主に次のような課題があります。
●輸送中の製品破損リスク
機械製品の特性上、精密に作られており、デリケートなものであることから、製品によっては振動や衝撃といった外から強い力が加わることで、製品内部に影響が出ることもあります。
製品の外層が物理的に破損してしまうというリスクだけでなく、内部の精密な構造に影響が及んでしまった場合、機器の性能や稼働に悪影響が出てしまうことがあります。このような製品の破損や故障が起きてしまうと、修理や廃棄コスト等がかさんでしまいます。
【破損事例】
輸送中のトラックが交通事故に巻き込まれ、製品の一部が破損してしまった事例があります。保険に加入していないと、破損分は自社で負担しなければなりません。
●特殊な車両やクレーン・ゴンドラ作業を要するなどコストがかかる
機械製品の輸送時においては、重量の重さや保管時の荷物の運搬や移動などが必要であるため、特殊な車両やクレーン・ゴンドラ作業を要します。そうなればそれらを運転できる人的リソースの確保も必要になり、コストがかかってきます。このコスト面の課題も大きいものといえます。
●保管時に湿度管理が必要なケースもある
機械製品によっては、保管時に湿度管理が必要なケースもあります。十分な倉庫の保管管理体制が整っていなければ、製品に支障が出てしまいます。
段ボール梱包と段ボール緩衝材のメリット

機械製品の輸送の際の課題を解決する方法として、段ボール梱包と段ボール緩衝材を利用する方法があります。ではこれらは機械製品の輸送において、どのようなメリットがあるのでしょうか。確認していきましょう。
●段ボールによる梱包と緩衝材がおすすめ
段ボールはコストを抑えながら振動や衝撃からの影響を極力抑えられる設計にすることができます。段ボールは形状を柔軟にカスタマイズ性することができる上に、材質や設計によって強度を上げることも可能です。
段ボールを外箱としてだけでなく、内部の緩衝材としても利用することができます。また、段ボール製のパレットと組み合わせて梱包全体を段ボールにすることも可能です。これらの段ボール梱包と段ボール緩衝材を使用することには、次のようなメリットがあります。
●段ボール梱包と段ボール緩衝材のメリット
・製品に合わせた設計が可能
段ボールはカスタマイズ性が高いため、梱包する中身の製品に合わせた柔軟な設計が可能です。強度を確保しながら、段ボールの使用量を減らしたり、積載効率が良くなるように工夫したりすることができるので、コストダウンや効率化などにも寄与します。
・金型などが必要なく、小ロットからカスタマイズが可能
一般的に、プラスチック製の梱包材を大量生産するときなどは、金型を利用して製造されています。しかし、段ボールは高額な金型ではなく木型を使用しているため、カスタマイズされた梱包の場合も初期費用を抑えることが可能です。
・海外向けには段ボールパレットによるワンウェイ輸送がおすすめ
海外に向けては、木製パレットなどでの輸送が一般的ですが、段ボールパレットは輸出先でパレットを廃棄するワンウェイ輸送に最適です。段ボールパレットは、回収が困難な場合にも、木製やプラスチックパレットよりも廃棄がしやすいというメリットがあります。木製パレットは病害虫が付着している恐れがあることから、病害を防ぐためにあらかじめ燻蒸(くんじょう)処理を行う必要がありますが、段ボールパレットであればそれも必要ありません。段ボールパレットは燻蒸処理の必要はなく、用途を終えたら廃棄しやすいという点で優位といえます。
・重量低減でコストダウンが可能なケースも
段ボールパレットは木製パレットなどと比較して軽量であることから、パレット輸送で重量単位で料金が発生している場合には、コストダウンを図ることができる可能性があります。
・環境に優しい素材である
段ボールは紙製でありリサイクルシステムが整っていることから、木やプラスチックより環境への影響を低減することができると考えられます。
【関連リンク】
>環境に優しいと注目される段ボールパレットの強度とは?メリットやリサイクルについても解説!
>ワンウェイパレットとは?段ボールパレットが選ばれる理由も解説!
機械の安全輸送を実現する段ボール梱包と段ボール緩衝材の具体例

機械の安全輸送を実現する段ボール梱包と段ボール緩衝材の具体例をご紹介します。
●CFGを用いた梱包と緩衝材
CFG(Cushion Flexible Gluer/クッション・フレキシブル・グルア)という段ボールシートを自動で積層状にする技術を用いれば、発泡スチロールのように緩衝材として使用することができます。また、積層にすることで段目方向での強度が高まり、段ボールパレットの桁にすることができます。
日本トーカンパッケージでは、CFGを用いた簡易包装、パレット、三角コーナーパッド、エアコンや空調設備、除湿器向け梱包などの制作事例があります。
CFGは段ボールシートを型抜き加工し、自動成形機により蛇腹状に貼り合わせを行うことで制作します。自動で制作できることから安定した品質と安定した供給が可能になります。
●CFGによるパレット梱包で輸出効率アップ
段ボールパレットはCFG技術を用いることでで安定した強度となるため、垂直耐荷重2t以上を実現し、輸出向けにも利用可能です。国内のワンウェイパレットにも採用されています。
段ボール活用で機械を安全に輸送した事例

すでに世の中には、段ボール梱包と段ボール緩衝材をうまく用いることで、機械を安全に輸送している例は多くあります。ここでは他社事例にはなりますが、2つの事例をご紹介します。
●医療用精密機器の輸送事例
医療用の精密機器を手がけるある企業は、医療分野、精密機器といった特性から、より安定した品質輸送を行う必要があります。そのため、輸送時に発生する衝撃に十分耐えられ、社内で行う落下試験にも合格するレベルを求めていました。
そこで段ボール梱包と段ボール緩衝材を工夫しました。まず製品の本体を段ボール緩衝材で固定しました。これにより輸送時の揺れにも対応できます。また製品の本体が段ボール箱の内部で段ボール外箱に触れさせないようにする仕組みも設けました。これらの工夫を施した後に落下試験を実施し、無事にクリアできました。
●航空機用の精密部品の輸送事例
航空機用の精密部品を段ボールを利用して安全に輸送した事例です。精密機器であることから、輸送時に一切の変形などが起きてはなりません。
また従来は木箱での輸送を行っていましたが、重量が重く組立に時間を要すること、平積みによる輸送効率の低さなどが課題でした。
そこで木箱梱包から段ボール梱包に代替することにしました。段ボールを用いて、製品の自重を利用した設計にしたことで、輸送に耐え得る強固な梱包を実現できました。
また段ボールの特徴である軽量という特性から重量を減らすことに成功し、組み立ても比較的、簡単に行えるようになりました。2段積みができるので、輸送効率も向上できました。
まとめ
機械製品の輸送における課題から、解決策としての段ボール梱包と段ボール緩衝材のメリットと具体例、事例までご紹介しました。機械製品の梱包の際の参考になれば幸いです。
今回ご紹介したCFGについては、「段ボール・紙器製品包装開発製品・設備仕様について」のお役立ち資料でも詳細をご紹介しています。無料でダウンロードいただけますので、ぜひご覧ください。