農協の選果場は、生産者の労働力不足などを背景にその存在の価値が高まってきています。しかし、選果場においても労働力不足や高齢化が深刻化しており、早急に対策を取る必要があります。
今回は、農協の選果場の役割とその重要性、高齢化の実態、具体的な現場課題、課題を踏まえた高齢化・人手不足対策、農協の選果場で負荷が高い梱包業務の改善のポイントをご紹介します。
農協の選果場で進む高齢化の実態
近年、農協の選果場は重要性が高まっている中、高齢化が進んでいるという課題に直面しています。
農協の選果場の重要性
総務省の「労働力調査」によると、農業就業者は、1999年から約25年間で119万人減少し、2023年には181万人となり、労働力低下が深刻化しています。
また厚生労働省の「一般職業紹介状況(※1)」によると、農林漁業の有効求人倍率は2009年以降、職業計よりも高い水準で推移しており、人手不足となっています。
農林水産省の統計(※2)では、65歳以上の基幹的農業従事者数が86万人であり、全体の約7割を占めています。また2022年の基幹的農業従事者の平均年齢は68.4歳と高齢化が進んでいます。
このように、高齢化や人手不足などによって労働力が低下する生産者の負担軽減のために、共同選果場の必要性が高まっています。
【出典】
※1:農林水産省「農業分野の労働環境改善をめぐる現状と課題」 P10「農林漁業の有効求人倍率」(厚生労働省「一般職業紹介状況」)
※2:農林水産省「令和4年度 食料・農業・農村白書」
農協の選果場の高齢化が深刻に
一方で、選果場の職員の高齢化が深刻化しています。
生産者の減少によって、より一層、選果場の重要性は高まっている一方で、老朽化や人手不足などを背景に、要求されるロット数をこなせないなどの問題が生じています。
施設を刷新するにあたっても、コストが必要になり、課題は増えるばかりです。
農協の選果場の現場課題
近年の労働力不足や人手不足、高齢化などを背景として、農協の選果場の現場では、次のような課題に直面しています。
高齢化による作業負担増加
高齢化により作業の負担が増しています。例えば、1本1kg以上もの根菜類の箱詰めを10万本以上、手作業で行う現場もあります。このような重労働は当たり前のように存在しており、これらの重労働に労働者が長時間にわたって対応することの負荷が高いことは、容易に想像できます。
また繁忙期になると、夜遅くまで作業しなければならないといった負担もあり、負荷は深刻化しています。
後継者不足による技術伝承が進まない懸念
現場によっては、一年に5名もの労働者が定年を迎えるなど、世代交代の傾向が目立っています。熟練技術者が定年退職してしまうことは、単に人手不足になるだけでなく、長年に渡って培われてきた選果の技術が失われてしまうリスクもあります。「将来、長きに渡って選果が続けられるのか」という点が懸念されています。
施設・設備の老朽化による刷新・コスト増加
選果場は近年、施設・設備の老朽化が進んでおり、刷新の必要性が増しています。しかし、刷新するにあたってもコストがかかるため、足踏みしている状況があります。
農協の選果場の高齢化・人手不足対策
農協の選果場の高齢化や人手不足の中では、次のような対策が考えられます。
選果機の刷新・AI導入による省力化・自動化
老朽化した選果機の刷新にあたって、新たにAI(人工知能)を搭載した機器を導入する選果機が目立ってきています。
選果機は、AIが農作物を大きさや品質などによって選果をサポートする機械です。品質や腐敗を判定するセンサーやAI選果システムなどが搭載されており、人の目では見分けがつきにくい農作物を選別します。
AI選果機を導入することで、従来の熟練技術者の選果を代替し、選果品質を保ったまま省力化できます。
季節雇用者・アルバイト・障がい者の採用
繁忙期への対策としては、季節雇用者やアルバイト、障がい者の採用が挙げられます。
障がい者の雇用は農林水産省主導による「農福連携(農業×福祉)」の取り組みが進められており、選果場の人手不足問題への対応と福祉の充実が図られています。
一時的であっても、若手人材を投入できることで、作業が効率化します。労働環境の整備により、継続的な雇用の創出を目指しています。
外国人の採用
近年、日本で働く外国人は増えていますが、選果場でも有望な担い手となっています。例えば特定技能外国人を受け入れる現場があります。
特定技能外国人は在留資格の一種で、最長5年間、日本で働くことができます。ある地方の県では、短期間で働く特定技能外国人のモデルを創出するために、農協の選果場で短期間就労するプログラムを実施しました。検証を進めることで、効果的な採用と就労の形が模索されています。
梱包作業の効率化・自動化
選果場では、選果した青果物を段ボールに収める梱包作業を伴います。梱包作業は高齢労働者にとって負荷が高い業務といえます。まず段ボールを組み立てる作業が負担になります。また、膨大な量の野菜や果物を箱詰めして梱包する作業は長時間に及ぶと身体的な負担が大きくなります。
そのため、効率化と自動化が進められています。例えば、ロボットアームが野菜などをつかんで段ボール箱に入れる機械や、段ボールの自動組み立てが可能な機械の導入が進んでいます。
農協の選果場で負荷が高い梱包業務の改善のコツは自動化にあり
選果場の梱包作業の効率化と自動化のためにご紹介した、段ボール組み立てを自動化する方法は、梱包業務の改善のコツといえます。
段ボール組み立ての自動化とは?その仕組みを解説
段ボール組み立ての自動化とは、主に製函(せいかん)機を利用して箱組みを自動化することを指します。
製函機は、段ボールシートを入れると折り作業を自動的に行い、最終的には箱の状態になって排出される仕組みとなっています。そのため、職員は従来の手作業による箱組みが不要になり、段ボールシートを製函機にセットするだけで済みます。セットするだけであれば、高齢の労働者であっても負荷を軽減できます。
また製函機を使用することで、人力で行うよりも迅速に箱が組み上がり、業務が大きく効率化します。
具体例~日本トーカンパッケージの独自包装システム「Automatic Tray」
選果場の梱包作業の自動化にも利用できる、製函機の具体例をご紹介します。
日本トーカンパッケージによる独自包装システム「Automatic Tray(オートマチックトレー)」は、青果物専用段ボールと製函機で成り立っています。
青果物専用段ボール
ディスプレイ三角柱形状やトレー形式の青果物専用の段ボールです。トレーの4コーナーに三角柱を施す、または2重折込みにすることにより、十分な耐圧強度を持ちます。
製函機
青果物専用段ボールを全自動で製函するシステムです。独自技術により精度の高いトレーを成型できるため、手組みではむずかしい複雑な形状にも対応可能です。
さらに、桟や蓋も糊貼りできるため、様々な製品や要求に対応できます。
またオートマチックトレーは、箱内部の構造で耐圧強度を高められることから、耐久性にも富んでいます。
このことから、梱包業務が自動化し、また効率化することで、現場の作業負担を減らします。同時に高い強度を実現することから、品質保持にも貢献します。
本ソリューションを用いれば、高齢化や人手不足によって生じるさまざまな課題を対策できます。
【関連リンク】
>青果物業界向け包装仕様・包装設備サービス
まとめ
農協の選果場における高齢化と人手不足、後継者不足などの問題は、年々深刻化しています。地域の生産者の農作物と選果を担う重要な役割を果たすために、率先して高齢化対策を実施する必要があります。
中でも自動化の対策は、現場にマッチした入念な設計が求められます。段ボール組み立て工程の自動化にご興味のある方は、ぜひ日本トーカンパッケージにご相談ください。
今回ご紹介した、日本トーカンパッケージの独自包装システム「Automatic Tray」は、農協の選果場における高齢化対策の一つにお役立ていただけます。
段ボール組み立ての省力化と自動化により、作業負荷低減や人的コスト削減につながります。
現場に最適な仕様や設備の設計を行いますので、ぜひお気軽にお問い合わせください。






