商品を運ぶ際に梱包に使用する段ボールは、紙製でありながら強度に優れ、輸送に適していますが、より強度を高めたいシーンがあるでしょう。
今回は、段ボールの強度に関する基礎知識から強さを決めるポイント、段ボールの強度を上げた事例、具体的な強度を高めた段ボールソリューションの例をご紹介します。
段ボールの強度とは?基礎知識を解説
段ボールの強度についての基礎知識をご紹介します。
段ボールの構造
まずは段ボールの構造から確認しておきましょう。
段ボールは「段のあるボール紙」の意味があり、基本的に3枚の原紙によって段を構成しています。中央に波形に加工されたボール紙「中しん」を配置し、その上下を平らなボール紙「表ライナ」と「裏ライナ」の2枚で挟みます。この3層構造によって、軽量でありながら高い強度を実現できています。
中しんの波形は「フルート」と呼ばれています。このフルートの高さや間隔によって、強度やクッション性、耐圧性などが変わります。フルートの段の数や高さは概ね規定されており、AフルートやBフルートなど、JIS規格で定められたものを含め複数種類が一般的に使用されています。
段ボール箱の強度の種類
続いては段ボールの強度の種類について見ていきましょう。
段ボールの強度と一口に言っても、複数の指標があります。主な強度として、次の3つが挙げられます。
・垂直圧縮強度
垂直圧縮強度とは、垂直方向から圧力をかけたときにどこまで耐えられるかを示します。「箱圧縮強度」とも呼ばれます。段ボール箱は何段にも積み上げられることが多く、上からの圧力に耐えるこの強度は、最も重要な指標といえます。
・水平圧縮強度
水平圧縮強度は、水平方向から圧力をかけたときにどこまで耐えられるかを示します。輸送中には横からの衝撃が生じることがありますが、その際に破けてしまうと品質に大きな影響を及ぼしてしまうため、強度を高めることは欠かせません。
・破裂強度
破裂強度とは、内容物や外部からの突起物によって面が突き破られることへの耐性を示す強度です。段ボールを輸送する際に、面が破損するケースというのは、ほとんどの場合、突起物によるものです。そのため、状況によっては水平圧縮強度と同様に、あるいはそれ以上に重要視されます。
段ボール箱の強度を決めるポイント
段ボール箱の強度は、主に構造と材質と形式で決まります。それぞれ概要を見ていきましょう。
構造
まず段ボールの構造によって、段ボールシートや段ボール箱として組み立てたときの強度が変わります。先ほどご説明したように、段ボールは3層構造で、中央部分は波形になっています。その波形=フルートの種類によって強度は変わります。
例えば、波の数が30cm当たり34±2個の「Aフルート」は、最も段が高く、強度に優れています。青果物や引っ越し用段ボールなど幅広く利用されています。
一方、波の数が30cm当たり50±2個の「Bフルート」はAフルートよりも薄く強度が下がります。主に内装箱や仕切りとして利用されています。
波の数が30cm当たり40±2個の「Cフルート」はAフルートよりも薄い一方で、波の数が密である点からAフルートと同様の強度があります。Aフルートよりも薄い特性を活かした活用がされています。
Wフルート(ABフルート)と呼ばれるAフルートとBフルートを組み合わせたものはAフルートよりも強度があるため、輸出用などにも利用されています。
材質
段ボールの表ライナと裏ライナの材質は古紙とバージンパルプの含有割合によって強度が変わってきます。一般的に古紙の割合が低く、バージンパルプの割合が高いほど強度が増します。
「C5」「C6」「K5」「K6」「K7」の5種類があり、「C」は古紙が多め、「K」はバージンパルプが多めです。そのため強度は「C5<C6<K5<K6<K7」の順に高くなります。
形式
段ボール箱を組み立てたときの形式によっても強度は変わります。
形式は一般的にA式とB式に分かれます。
A式の段ボール箱は、いわゆる「みかん箱」の形状です。箱の側面と底面が一体化しており、四隅に柱ができることから比較的強度を高く保てます。
B式の段ボール箱は、フタや底が差し込み式になっている形状です。フタと底の両方が差し込み式になっている「キャラメルタイプ」や、底を組み立てる「地獄底タイプ」、箱を開くだけで自動的に組み上がる「ワンタッチタイプ」があります。いずれもA式と比べるとやや強度が劣ります。
段ボールの強度を上げた事例
商品や輸送環境に応じて、段ボールの強度を上げる必要が出てくるシーンがあります。実際に、段ボールの強度を上げた事例をご紹介します。
輸出用に段ボールを強化
大型機器の輸出に利用する段ボールは、国内輸送よりも輸送時間が長く、衝撃のリスクも高いため、より強度を上げる必要があります。そこである企業は外装段ボール箱に段ボールの胴枠を入れることで強度を補っていましたが、胴枠分のコストがかさんでいました。
対策としてWフルートの強化段ボールに代替した結果、強度アップに加えてコスト削減も実現できました。
箱と仕切りの一体化で強度アップ
一般的に、段ボール箱と内部に入れる仕切りは別々ですが、一体化させることで強度アップを実現している事例もあります。精密機器などの内部でしっかりと固定しながら強度も高める必要のある商品の梱包に向いています。
マイクロフルートで板紙より強度アップ
国内最薄の段ボール「マイクロフルート」は、フルートの種類でいえば「Gフルート」に相当します。一般的な輸送用段ボールと比較すると薄くなりますが、美粧印刷が可能であるため、食品や小型家電、ギフト用途などの商品の特性に合わせた利用が可能です。
従来の板紙製品をマイクロフルートの素材に変更したところ、パッケージの強度アップと総重量ダウンを同時に実現できた事例があります。
段ボールの強度を高める日本トーカンパッケージの製品
日本トーカンパッケージは、段ボールの製造・販売・包装設計&デザイン・包装試験・包装システム設計・システムの設置・保全を連動して対応しており、段ボールの強度を高めることも可能です。ニーズに合わせた強度アップをご提案させていただきます。
製品としては次のようなものがあります。
八角形の段ボール箱とパッケージングシステム
欧州最大の段ボールメーカーであるDS Smith Plc(DSスミス)と連携し、強度の高い八角形の段ボール箱とパッケージングシステム(製函機)を組み合わせたソリューションをご提供しています。
段ボール箱の形状を八角形にすることにより、耐圧強度アップを実現できます。さらに、精度よくスタッキングができる「センタリングデバイス」により棒積み(箱をずらさず真っ直ぐに積み上げること)ができるため、強度劣化を抑制します。
一般的な段ボール箱と比較してより強度の高い材質に変更することなく、また仕切りを使用せずに強度を保つことができます。
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マイクロフルート
板紙製品をマイクロフルートの素材に変更することで、強度アップと総重量ダウンを同時に実現します。
マイクロフルートは段ボール扱いのため、リサイクル可能で環境にもやさしい製品です。オフセットダイレクト印刷で美しいパッケージデザインを実現できます。
日本トーカンパッケージは、日本国内では数少ないマイクロフルートの自社一貫生産ができるメーカーです。マイクロフルートのカスタマイズをご検討されている方は、ぜひお気軽にご相談ください。
【関連リンク】
まとめ
段ボールの強度は、垂直圧縮強度、水平圧縮強度、破裂強度など複数の指標があり、構造、材質、形式といった要素で決まります。工夫次第で強度アップも可能です。
もし段ボール箱の強度を上げたいとお考えの方は、日本トーカンパッケージへご相談ください。段ボール箱の設計から省人化を実現する製函機も含めたソリューションのご提供まで、幅広くご支援いたします。






