SDGsに配慮したパッケージとは?
脱プラと段ボール利用の勧め

いま、SDGsに配慮した脱プラスチックのパッケージへの転換が世界的に進んでいます。日本でもパッケージの脱プラスチックの取り組みが進んでいます。そうした取り組みにより、どのような環境問題への貢献につながるのでしょうか。
そこで今回は、SDGsに配慮したパッケージの採用が進む背景や目指すゴール、貢献できる環境問題をご紹介します。

1.世界的に進む脱プラスチックの動き

いま、脱プラスチックの動きが世界的に進んでいます。

WWF(世界自然保護基金)によれば、世界の海洋プラスチックの量は約1億5,000万トンにも上り、毎年800万トンものプラスチックごみが海に流れているといわれています。
こうした中、世界では、プラスチック規制への意識が高まっています。

●プラスチック規制の国際的な動向

2021年には、「バーゼル条約」の改正が行われました。この条約は、先進国から排出されるごみによって発展途上国が汚染される問題を解決するために1992年に施工されました。2021年の改正では、プラスチックごみが有害廃棄物として新たにリストに加えられ、輸出入に関して規制が設けられました。基準を満たさない廃プラスチックは規制対象となり、輸出する際には輸入国の同意が必要となります。

さらに、2022年3月に開催された第5回国連環境総会では、「国際プラスチック条約」が採択され、175ヶ国以上がこれに賛同しました。この条約は2024年の締結を目指して議論が進行中です。

また、各国の政府は自国内でのプラスチック使用や輸入に関する規制を強化しています。次に、各国のプラスチック規制の現状を見ていきましょう。

●EU

EUでは、2030年までに全プラスチック容器包装材のリサイクルを可能にし、プラスチックボトル分別収集や、プラスチックカップ・プラスチックボトル等に対するデザイン要件の導入、ペットボトル・プラスチックボトルに対する再生プラスチック使用目標が細かく定められ、その目標に向けて取り組まれています。

●中国

中国は、かつて他国から廃プラスチックや古紙などの資源ごみを大量に輸入し、中国国内で分別・加工し、新たな製品の原料として再利用してきました。しかし、2018年1月から中国は廃プラスチックの輸入禁止に踏み切りました。その背景には、資源化できないものが焼かれたり、不法投棄されたりなど、環境問題が生じていたためです。

●日本

日本でも、脱プラスチックの動きが高まっています。2019年5月に環境省や経済産業省など関係省庁の連名で「プラスチック資源循環戦略」が策定されました。
大きくプラスチックの生産量を減らすリデュース、容器包装や使用済みプラスチックを繰り返し使うリユース・リサイクル、再生利用・バイオマスプラスチックの導入などが目標として立てられました。

2.SDGsに配慮したパッケージに求められること

こうした中、パッケージの分野でも、SDGsに配慮した脱プラスチックの取り組みが実施されています。

SDGsとは「Sustainable Development Goals」の略で、2015年に国連が採択した「持続可能な開発目標」のことです。国際社会全体が2030年までに環境・経済・社会が抱える問題を解決し、持続可能な社会を作るための17のゴールと169のターゲットで構成されています。

2-1.パッケージに関わるSDGsのゴール

パッケージなどの容器包装資材に関わるSDGsのゴールには、主に次の3つが該当すると考えられます。

「12.つくる責任・つかう責任」
持続可能な消費と生産のパターンを確保するという目標です。食品廃棄や有価物の投棄など、資源の浪費をなくすために、容器包装資材を含めた生産工程における廃棄物の抑制やリサイクルやリユースなどが必要です。

「14.海の豊かさを守ろう」
海洋と海洋資源を持続可能な開発に向けて保全し、持続可能な形で利用するという目標です。容器包装資材に使われてきたプラスチック廃棄物は海洋汚染に大きく関係しており、対策が急務です。

「15.陸の豊かさも守ろう」
陸上生態系、森林、土地、生物に対して、持続可能な環境の整備を行うという目標です。
容器包装資材で使用されてきた森林資源をもとにする紙資材について検討が必要です。

2-2.SDGsに対応する箱・パッケージ用の素材とは

SDGsに対応する箱・パッケージ用の素材は、脱プラスチックの観点から「紙」が第一選択肢といえます。そこで、紙素材の利用に関する取り組み例をご紹介します。

・再生紙の利用
再生紙の利用は、森林資源を無計画に伐採することを減らすため、SDGsへの貢献につながります。
再生紙の一種である段ボールについては、国内ではリサイクルシステムが確立されており、95%以上が回収されています。回収された段ボールは、また紙の原料となり、新しい段ボールへと生まれ変わります。段ボールのライフサイクルは、地球温暖化の原因とされるCO2の排出量が少ないのも特徴です。

・森林認証紙の利用
FSC(Forest Stewardship Council:森林管理協議会)による森林認証紙の積極的な利用も一つの方法です。この認証紙は、適切に管理されていることが認証された森林資源を利用している証であるため、適切な森林資源の活用を促進します。

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2-3.食品パッケージやサステナブルパッケージ

食品パッケージにおいて、衛生や加工における厳しい制約がある中で、環境に優しい素材を使用する企業が増えています。例えば、従来のプラスチックから再生紙やバガス紙に変更することや、パッケージの形状を簡易にすることでCO2排出量を削減する取り組みが見られます。また、消費者の健康に配慮した情報を商品パッケージに視覚的に提供することも重要となっています。栄養成分やアレルギー物質を明示することで、消費者が安心して商品を選べるよう案内する工夫が求められます。

一方、サステナブルパッケージは持続可能性を追求し、環境負荷を低減することを目的とするパッケージのことです。企業は2030年のSDGs達成に向けた方針として、プラスチックごみの削減や使用済みパッケージの回収・再資源化に取り組むことが求められています。例えば、微生物の働きによりパッケージが分解される、生分解性を持つ素材や、動植物から生まれた再生可能な有機資源を利用したパッケージなど、サステナブルな素材の導入が推奨されています。これにより、循環型社会の実現に貢献し、地球の未来に価値あるパッケージを提供することが可能となります。

3.パッケージや梱包材の見直しで貢献できる環境問題

では、パッケージや梱包材の脱プラスチックを図り、見直すことで、環境にはどのように貢献ができるのか見ていきましょう。

3-1.ウッドショックへの対応

ウッドショックとは、木材価格の高騰のことです。1970年代に発生した「オイルショック」になぞらえており、建築用木材の供給が需要に追いつかないことに起因するものです。特に建物の建設において必要な木材不足や価格高騰が問題となっており、梱包資材にも問題が顕在化してきています。

例えば、従来の木製パレットや木枠材を再生紙の段ボールに転換することで、ウッドショックへの対応と、森林資源の持続可能な利用につながります。

また、段ボールへの転換は、結果的に持続可能な事業にもつながります。例えば段ボールは使用していないときは折りたたんで保管できるため、省スペース化によるコスト削減の可能性もあります。

3-2.海洋汚染問題への貢献

パッケージや梱包材のプラスチック使用量の削減により、海洋汚染問題に貢献できます。

パッケージや梱包材には、その多くにプラスチックが使われており、すべてを完全に段ボールや紙に代替するのは困難かもしれません。その場合は、フィルムやポリ袋の薄肉化、バイオプラスチックなど環境にできるだけ負荷のかからないものに代替するという選択肢もあります。

4.まとめ

世界的に脱プラスチックの流れがある中、パッケージや梱包材に対応することで、SDGsと環境問題に貢献できます。

日本トーカンパッケージでは、段ボールをはじめとしたパッケージ総合支援を行っております。段ボールの製造・販売・包装設計及び、デザイン・包装試験・包装システム設計・システムの設置・保全を連動して対応しています。
パッケージや梱包材の見直しの際にも、ご相談いただければ、お客様のご要望や環境に最も適した段ボールにまつわるご提案が可能です。