
EU方面にビジネスの取引のある事業者にとってEUプラスチック規制、特にPPWR(包装規則/包装廃棄物規則)がビジネスに与える影響を理解することは重要といえます。また従来の包装を見直すための対応策を考える必要があります。
今回は、EUや世界各国への輸出を行う際などに役立つ、EUプラスチック規制の最新動向・日本企業が取り組むべき対策を解説します。
目次
EU(欧州連合)のプラスチック規制の状況

EUのプラスチック規制の状況について、代表的なものをご紹介します。
EU(欧州連合)のプラスチック規制の状況
EUにおいては、循環型経済(サーキュラーエコノミー)を推進しており、世界に先駆け、環境規制を積極的に実施しています。特に「使い捨てプラスチック指令(Single-Use Plastics Directive)」は重要な取り組みです。
使い捨てプラスチック指令(Single-Use Plastics Directive)
海洋ごみの削減に向け、2019年6月12日に官報で公布された「EU指令 2019/904」を指します。特定のプラスチック製品と漁具をEU市場で流通禁止し、プラスチックの消費量を削減して持続可能な代替品を導入する取り組みが進められました。
特定のプラスチック製品の環境への影響の低減に関するEU指令
2019年5月に採択され、7月に施工された指令で、特定の使い捨てプラスチック製品10種類、例えばカトラリーや皿、ストローなどの販売が禁止されました。
エコデザイン規則(ESPR)法案
2023年5月に合意された法案で、EU内の市場に投入される製品などはすべて、エコデザインにすることが求められています。エコデザインとは、リユース性やリサイクル性が高いなど、資源やエネルギーの消費や環境負荷を最低限にとどめる設計を指します。
マイクロプラスチックの規制
2023年9月に、5mm以下のすべての合成ポリマー粒子であるマイクロプラスチックを用いた製品の販売や、使用時にマイクロプラスチックを放出する製品の販売を禁止する規則が採択されました。
【2025年】EUプラスチック規制の最新動向

続いて、EUプラスチック規制の最新動向として押さえておきたい「PPWR(包装規則/包装廃棄物規則)」について解説します。
PPWR(包装規則/包装廃棄物規則)
PPWR(包装規則/包装廃棄物規則)は「EU規則2025/40」の通称で、PPWRは「PACKAGING AND PACKAGING WASTE REGULATION(包装・包装廃棄物)」を意味します。これはEUの包装廃棄物の削減を目的とする新たな規則です。
その目的をより強力に推し進めるために、欧州委員会が提案し、2024年12月に正式に可決されました。本規則は、2025年2月11日に発効し、2026年8月12日に適用されます。
食品に限らず、すべての包装と包装廃棄物が対象であり、特に包装廃棄物の削減を目指し、廃棄削減、再利用、リサイクルを強力に推進するものです。
包装廃棄物の削減については、EU加盟国に対して2018年を基準に以下のような削減目標が義務付けられています。
包装廃棄物の削減目標(一人当たり/2018年比・量)
2030年まで:5%削減
2035年まで:10%削減
2040年まで:15%削減
また2030年までにEU域内での包装を100%リサイクル可能にする目標が掲げられています。
包装・包装廃棄物の要件
本規則には、次の7つの持続可能性要件が定められ、要件を満たさない包装の上市を禁止する旨が盛り込まれています。
1.有害物質の使用規制
2.リサイクル可能な包装
3.プラスチック包装の最低リサイクル含有割合
4.プラスチック包装におけるバイオベース原料
5.堆肥化可能な包装
6.包装の最小化
7.再利用可能な包装
特に事業者が関係する、2030年以降はリサイクル可能な設計の包装材を活用する必要がある点、プラスチック包装についてはリサイクル材を一定割合以上含む必要がある点には留意が必要です。
EUプラスチック規制に対して日本の輸出業者が取り組むべき対策

EUプラスチック規制を受け、日本の輸出業者は次のような対策に取り組むべきといえます。
廃プラスチックの削減努力
規制を意識して、特にプラスチック素材の商品の包装や梱包材、輸送時のパレットなどに関して見直す必要が出てきています。そもそもプラスチックの利用をやめる、代わる素材に切り替える、プラスチックの使用面積を削減するといった努力が求められます。
プラスチック包装・梱包の代替を検討
特に容器や外箱などの包装、輸送・保管時などの梱包に関しては、プラスチックの代替となる素材を検討することをおすすめします。主に紙や木材、生分解性プラスチックなどが選択肢となります。耐久性や耐水性などをよく検討し、新たな包装・梱包を開発する意識も重要です。
代替素材の段ボールの加工
梱包については日本でリサイクルシステムが確立されている段ボールが代替素材の第一選択肢となるでしょう。プラスチックから切り替える場合、耐久性や耐水性が気になりますが、加工しやすい特性から、段ボールを強化し、耐水性を高めるなどの工夫が行われています。従来の段ボールの固定観念を払い、新たな意識で優秀な代替素材としてとらえましょう。
EUプラスチック規制に対応できる梱包材
日本トーカンパッケージの段ボールパレット「CFGパレット」のご紹介

輸出時に、EUプラスチック規制に対応する梱包材を探している方におすすめなのが、日本トーカンパッケージの段ボールパレット「CFG」です。
日本トーカンパッケージの段ボールパレット「CFG」とは?
段ボールパレットCFGは、垂直耐荷重2t以上で、CFG技術により安定した強度を実現する製品です。CFGは「Cushion Flexible Gluer」の略称で、段ボールの積層作業を自動成形する加工技術であり、桁を組み上げることで、強度の安定化を実現します。
強度が高められていることから、輸出用の段ボールパレットとしても十分に活用できるため、従来、プラスチック製パレットを利用していた場合の代替手段にもなり得ます。
プラスチック製パレットは、輸出先で産業廃棄物処理として業者に依頼する必要があるなどのデメリットがありました。この課題は、段ボールパレットを運んだ後で回収しない「ワンウェイパレット」として活用することで解決します。
また、設計技術により、パレットの差し込み部分をカスタマイズすることもできるため、柔軟に利用シーンに適合させることもできます。
段ボールパレット「CFG」は、厳しいEUプラスチック規制の中、有効な手段となるでしょう。
まとめ

EUのプラスチック規制の概要と対応のポイントをご紹介しました。今後もさらに規制が強化されていくと予想されるため、従来からプラスチック包装や梱包に頼っていた場合には、切り替えを検討しなければならないでしょう。
持続可能な輸出ビジネスを進めるために、段ボールという素材は、課題解決をサポートしてくれる貴重な素材です。パレットや梱包材、緩衝材を段ボールに切り替える際には、ぜひ当社にご相談ください。
段ボールパレット(CFG)に関しては、詳細資料をご用意しており、無料でダウンロードできますので、ぜひご覧ください。