廃プラスチックとは?
リサイクル方法や減らすための取り組みを解説

廃プラスチックとは?リサイクル方法や減らすための取り組みを解説

私たちが日常生活で便利に使っているプラスチック製品。その一方で、使用後に廃棄される「廃プラスチック」は、地球環境に深刻な影響を及ぼしています。海洋汚染や野生生物への影響など、その課題は多岐にわたります。
こうした問題に対処するためには、廃プラスチックのリサイクルや削減が不可欠です。本コラムでは、廃プラスチックの基本的な情報から、リサイクル方法、そして私たち一人ひとりが取り組める削減策について詳しく解説します。持続可能な未来を築くために、今こそ私たちの行動が求められています。

1. 廃プラスチックとは

1. 廃プラスチックとは

廃プラスチックとは、私たちの生活や産業活動から排出されるプラスチック廃棄物を指します。
通常の廃棄物が「一般廃棄物」と「産業廃棄物」に分けられるように、廃プラスチックも「一般廃プラスチック」と「産業廃プラスチック」の2種類に分類されます。「一般廃プラスチック」は家庭や商業施設から排出されるものであり、「産業廃プラスチック」は製造業や建設業などの産業活動から発生するものです。

2020年のデータによると、日本では年間822万トンの廃プラスチックが排出されています。このうち、リサイクルされた廃プラスチックの量は710万トンに達していますが、リサイクルされなかった残りの廃プラスチックは焼却や埋め立てによって処理されています。この膨大な量の廃プラスチックの処理は大きな課題であり、特に近年では廃プラスチックの輸出が停止されたことにより、国内でのリサイクル率向上が求められています。

廃プラスチックの問題は、単に廃棄物処理の問題にとどまりません。マイクロプラスチック問題や海洋汚染は、廃プラスチックが環境中に放出されることで引き起こされる深刻な問題です。これらのプラスチックは海洋生物に取り込まれ、食物連鎖を通じて最終的に人間にも影響を及ぼす可能性があります。実際に、プラスチックに含まれる化学物質が人間の健康に悪影響を及ぼすことが懸念されています。

参考:
プラスチック製品の生産・廃棄・再資源化・処理処分の状況|一般社団法人 プラスチック循環利用協会

2. 廃プラスチックのリサイクル方法

2. 廃プラスチックのリサイクル方法

続いて、廃プラスチックの主なリサイクル方法について解説します。

●マテリアルリサイクル
マテリアルリサイクルは、廃プラスチックを再び製品の原料として利用する方法です。廃プラスチックを一旦破砕し、洗浄した後、溶かして再びペレット状に加工します。これにより、新しいプラスチック製品の原料として再利用されます。例えば、PETボトルはこの方法を用いて再びボトルや繊維製品として生まれ変わります。この方法の利点は、素材の特性を維持しつつ再利用できる点ですが、異なる種類のプラスチックが混ざると品質が低下するため、分別が重要です。

●ケミカルリサイクル
ケミカルリサイクルは、廃プラスチックを化学的に分解し、別の資源として活用する方法です。この方法では、プラスチックを加熱や化学反応を通じて分解し、基本的な化学成分に戻します。これにより、プラスチックの種類にかかわらず、再び新しいプラスチックを製造することが可能になります。ケミカルリサイクルは、混合プラスチックや汚染されたプラスチックでも処理できるため、マテリアルリサイクルでは難しい部分を補完する役割を果たします。

●サーマルリサイクル
サーマルリサイクルは、廃プラスチックを燃料としてエネルギーを回収する方法です。このプロセスでは、廃プラスチックを焼却し、その際に発生する熱エネルギーを利用します。例えば、プラスチックを燃やして発電を行ったり、工場での熱源として利用したりします。この方法は、リサイクルが難しいプラスチックの処理に適しており、埋め立てを減少させる効果があります。ただし、焼却時に二酸化炭素や有害物質が発生する可能性があるため、適切な処理技術が求められます。

3. 廃プラスチックを減らすための取り組み

3. 廃プラスチックを減らすための取り組み

最後に、廃プラスチックに対する取り組みを日本政府と企業に分けて解説します。

日本政府の取り組み

1.プラスチック資源循環戦略
日本でも、脱プラスチックの動きが高まっています。2019年5月に環境省や経済産業省など関係省庁の連名で「プラスチック資源循環戦略」が策定されました。
大きくプラスチックの生産量を減らすリデュース、容器包装や使用済みプラスチックを繰り返し使うリユース・リサイクル、再生利用・バイオマスプラスチックの導入などが目標として立てられました。

参考:
プラスチック資源循環戦略の概要|環境省

2.レジ袋有料化
2020年7月から施行されたレジ袋有料化は、消費者の意識改革を促す重要な施策です。これにより、使い捨てプラスチックの使用が大幅に減少し、エコバッグの利用が定着しました。レジ袋の有料化は、日常生活でのプラスチック削減を実感するきっかけとなっています。

参考:
プラスチック製買物袋有料化 2020年7月1日スタート|経済産業省

3.海岸漂着物処理推進法
海岸に漂着するプラスチックごみの処理を促進するため、海岸漂着物処理推進法が制定されました。この法律に基づき、自治体や企業、地域住民が協力して海洋ごみの回収活動を行っています。これにより、海洋環境の保護と地域社会の連携が強化されています。

参考:
海岸漂着物処理推進法の概要(改正後)|環境省

企業の取り組み

1.日本マクドナルド
日本マクドナルドは、プラスチックカップを紙カップに変更する取り組みを進めています。これにより、年間数百トンのプラスチック削減が見込まれています。また、ストローの使用を減らすための工夫も行われており、持続可能な資源利用を推進しています。

参考:
マックのホットドリンク、再利用可能なカップの利用を計画

2.ソニー
ソニーは、製品の包装材におけるプラスチック使用を削減し、紙素材やバイオマス素材の利用を増やしています。特に、再生紙や森林認証紙の利用を積極的に進めることで、環境負荷の低減を図っています。これらの取り組みは、製品のライフサイクル全体での環境配慮を実現するものです。

参考:
ソニー、TV梱包材を環境配慮にバイオマス材使用

3.パッケージや梱包材の見直し
箱・パッケージ用の素材は、脱プラスチックの観点から「紙」が第一選択肢といえます。そこで、紙素材の利用に関する取り組み例をご紹介します。

・再生紙の利用
再生紙の利用は、森林資源を無計画に伐採することを減らすため、SDGsへの貢献につながります。
再生紙の一種である段ボール(古紙)については、国内ではリサイクルシステムが確立されており、95%以上が回収されています。回収された段ボールは、また紙の原料となり、新しい段ボールへと生まれ変わります。段ボールのライフサイクルは、地球温暖化の原因とされるCO2の排出量が少ないのも特徴です。

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4. まとめ

4. まとめ

世界的に脱プラスチックの流れがある中、箱・パッケージ用の素材を紙素材にすることで、廃プラスチックの削減と環境問題に貢献できます。

日本トーカンパッケージでは、段ボールをはじめとしたパッケージ・梱包材の総合支援を行っております。段ボールの製造から販売・包装設計及び、デザイン・包装試験・包装システム設計・システムの設置・保全まで一気通貫で支援しております。
パッケージや梱包材の見直しの際にも、ご相談いただければ、お客様のご要望や環境に最も適した段ボールにまつわるご提案が可能です。ご不明な点等ございましたら、お気軽にお問い合わせください。