どうなるプラスチック規制?
各国の状況と代替手段のご紹介

世界的に、プラスチックに関する規制が進められており、日本国内でもその流れを受け、法的、社会的に規制が強化されています。このことから、特に包装・梱包にプラスチックを利用している物流事業者や製造業のメーカーの方々、そして輸出業者にとってプラスチック規制への対応は、環境に対応する今後の組織や事業の発展においても重要な取り組みといえます。
今回は、プラスチック規制の世界的な動向と共に、輸出業者にとってどのような対応が必要になるのかをお伝えします。また、輸出時の包装・梱包のプラスチックに代わる手段のアイデアをご紹介します。

1.プラスチック規制とは? 日本やEUなど世界的な法規制の状況

プラスチック規制とは? 日本やEUなど世界的な法規制の状況

近年のプラスチックに関する世界的な法規制の動向と背景をご紹介します。

●プラスチックの問題点
プラスチックが問題視されているのは、主に採掘・製造・使用・廃棄の4つの観点があります。プラスチックの原材料である石油やガスの採掘や製造には温室効果ガスの排出が伴います。またプラスチック使用は化学物質による人への健康への影響が問題視されています。そして廃棄については、陸から流出した海洋プラスチックが長期間に渡って分解されないことで、生態系への悪影響や環境汚染をもたらします。

地球温暖化、生態系破壊、人の健康被害など、プラスチックの悪影響は見過ごすことができない世界的な問題となっています。このような状況を受け、近年は都市レベルでの規制に始まり、現在は世界各国で急速にルールづくりが広がっています。

●プラスチック規制の国際的な動き
国際的な大きな動きとして、2021年の「バーゼル条約」の改正があります。同条約は先進国が排出したごみによって発展途上国が汚染される状況を改善するために取り結ばれ、1992年から効力が発生しています。そして2021年の改正ではプラスチックごみが有害廃棄物としてリストに加わり、輸出入に関して規制が入りました。基準を満たさない廃プラスチックは規制対象となり、輸出の前に輸入国の同意が求められます。

また2022年3月に開催された第5回国連環境総会では「国際プラスチック条約」が採択され、175ヶ国以上が承認しました。2024年の締結を目指して議論が進められています。

●各国のプラスチック規制の現状
世界各国の政府は、自国内のプラスチック利用の規制や輸入規制を進めています。主なプラスチック規制の現状を見ていきましょう。

・EU(欧州連合)
2019年5月に使い捨てプラスチック製品の流通を禁止する法案が可決され、2021年7月からはプラスチック製のストローやカトラリーなどが規制対象となり、プラスチックボトル回収率やリサイクル材料含有率などの改善について明確な目標値を掲げて取り組んでいます。
特にフランスでは2040年までに使い捨てプラスチック包装をなくすべく、2022年からは小売業における青果のプラスチック包装を禁止しました。

・カナダ
2022年12月より、使い捨てプラスチック禁止規制が施行され、一部商品を除き、製造・輸入・販売が順次禁止され、2025年12月には輸出も禁止となります。

・タイ
2025年までに廃プラスチックの輸入が全面的に禁止になる見込みです。また自国においては輸入食品を含めた、2022年に食品に利用するプラスチック容器包装に関する品質や規格を定めました。

・中国
2017年末に廃プラスチックを含む廃棄物原料の一部の輸入を禁止し、2020年1月には、廃プラスチック類の輸入を全面的に禁止することを発表しました。
また、中国は世界最大のプラスチック消費国であり、全国規模で削減するために、2022年までにプラスチック製の袋やストローの使用を禁止しました。生鮮品については2025年から禁止するとしています。

・台湾
中国の2017年末の廃プラスチックの輸入禁止を受け、台湾への廃プラスチック輸入量が大幅に増加しました。そこで台湾は2018年8月に法令を改正し、廃棄物輸入の取り締まりを強化しました。

・アメリカ合衆国
カリフォルニア州では、2021年にプラスチック製ストローや食器の提供を禁止する法案が成立。2022年6月には2032年までに使い捨て食用プラスチック食器の使用量を25%減らすことを要求する法案が成立しました。
ニューヨーク州では2020年3月より小売店や食品店などに向け、使い捨てのプラスチック製レジ袋の使用禁止を決定しました。

・日本
日本はプラスチックの資源循環を総合的に推進するための戦略を策定し、施策を進めています。
2022年4月1日からは「プラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律(プラスチック資源循環促進法)」が、「3R+Renewable」を基本原則に施行されました。Renewableは「再生可能」との意味があり、プラスチックを再生可能な資源に置き換えることを求めています。

事業者に対してはプラスチック廃棄物排出の抑制、再資源化に資する環境配慮設計、分別収集、自主回収などの措置を設けました。

2.プラスチック法規制に対して日本の輸出業者が取るべき対策

プラスチック法規制に対して日本の輸出業者が取るべき対策

世界各国のプラスチック規制に対して、日本の輸出業者は、さまざまな対応策が求められます。

●規制を意識し廃プラスチックが出ないようにする
国際的に廃プラスチックの規制がある中で、ぜひ意識してできるだけ廃プラスチックが出ないようにする取り組みが欠かせません。そもそもプラスチックを使わない、代替素材に切り替える、包装に関してプラスチック利用の使用面積を削減するといったことが挙げられます。

●プラスチック包装への配慮
食品を輸出する際には、食品包装材料も含め各国規制に対応する必要があります。例えばプラスチック包装容器を紙や木などに切り替えるといった方法です。また、外装箱についてはプラスチック容器から段ボール箱に切り替えるといったことも有効です。

●リスク管理とコンプライアンスの確保
輸出管理においては、リスク管理やコンプライアンスに関して社内に浸透させることが重要になりますが、プラスチック規制に関しても、積極的に社内に正しい意識を持たせ、組織全体で取り組んでいくことが欠かせません。

●環境負荷・コスト低減を意識する
輸出物に限らず、国内の事業全体においても、環境負荷およびコスト削減を意識して取り組むことが重要です。その結果、「プラスチックを生まない・増やさない」企業として輸出時には問題ない対応策を採ることができるでしょう。

3.輸出時の包装・梱包のプラスチック代替手段とイノベーションの可能性

輸出時の包装・梱包のプラスチック代替手段とイノベーションの可能性

輸出時において必要不可欠な包装・梱包のプラスチック代替素材には、次のものが例として挙げられます。

●包装・梱包のプラスチック代替素材の例

・段ボール
段ボールは、紙製であることから環境負荷が低く、プラスチック素材に代わる優良な素材です。段ボール包装や段ボールパレットなどで広く利用できます。

軽量であるため輸送時の重量制限に対応しやすく、コスト削減にもつながります。また輸出前の病害虫対策として必要な燻蒸が不要で、廃棄しやすい点から片道のみに利用するワンウェイ輸送に適していることも挙げられます。

さらに、段ボールは加工しやすい素材であるため、内容物や用途に応じて柔軟に形状を変更・工夫できる利点もあります。

・アルミ箔×紙製容器
食品包装容器によく使われるアルミ箔と紙を合わせた容器は、光や酸素を遮断することから、輸出にも適した特性を持ちます。容器のまま加熱できるので、殺菌処理が行いやすい点も特長です。

・プラスチック代替素材
植物性の材料から作った容器も輸出用として利用しやすいといえます。利用する素材については各国の規制を確認する必要があり、輸出に耐え得る強度を備えることも求められます。例えば、サトウキビのしぼりカスを利用した「バガス」と竹を混ぜ合わせて容器をつくることもできます

●段ボールは代替手段として最適
代替素材として、段ボールは最適といえます。積極的に採用することで環境配慮はもちろん、イノベーションの可能性も高くなります。加工の柔軟性の高さや強度を高められる可能性があり、さらには工夫次第で包装資材面積の削減も実現することから、コスト削減にも寄与します。

4.まとめ

プラスチックの問題は今後もますます重要視されていくと考えられます。世界的にプラスチック規制が進められる中、日本の輸出業者はより一層、対応を強化する必要があるでしょう。そうした中、持続可能な輸出ビジネスのために段ボールという素材は、課題解決をサポートしてくれる貴重な素材です。プラスチック規制への対応のために、段ボールパレットや梱包材、緩衝材を段ボールに変換することも検討しましょう。

【お役立ち資料】
段ボールパレット(CFG)