
昨今、緩衝材や梱包材の素材にも脱プラスチックが求められている中で、注目されているのが段ボールです。段ボールはプラスチックの代替となるだけでなく、すでにリサイクルシステムが整っていることから、環境負荷を極力防ぐための一手段となり得ます。
今回は、脱プラスチックの流れと企業にとっての必要性のほか、段ボール素材を用いた緩衝材・梱包材の特徴やメリットを解説します。
目次
1.脱プラスチックの流れとその必要性

近年、世界中で脱プラスチックの動きが加速しています。
その背景にある環境問題は早急に全世界が取り組むべき深刻なものとなっており、各国はもちろんのこと、企業も社会的な要求に対応していかなければなりません。
●脱プラスチックが求められる背景
なぜこれほどまでに脱プラスチックが求められているのでしょうか。
大きい問題として適切に処理されなかったプラスチックごみによる海洋汚染のほか、プラスチックの製造や焼却時に排出されるCO2の増加による地球温暖化の進行という問題があります。これらの問題を食い止めるためにも、プラスチックの使用をできるだけ減らすことが求められます。
●脱プラスチックに取り組まないリスク
このままのペースでは、深刻な事態になることが想定されます。
環境省の「令和元年版 環境白書・循環型社会白書・生物多様性白書」によると、1950年代以降に生産されたプラスチック類は83億トンを超えており、そのうち63億トンがごみとして廃棄されたとの報告があります。また毎年約800万トンのプラスチックごみが海洋に流出しているという試算があり、このままでは2050年には海洋中のプラスチックごみの重量が魚の重量を超えるという試算もあるとされています。
出典:環境省「令和元年版 環境白書・循環型社会白書・生物多様性白書」
●SDGsの流れからも取り組みが強化
国際的に取り組まれているSDGs(Sustainable Development Goals/持続可能な開発目標) 、つまり2030年までに持続可能でよりよい世界を目指す国際目標においても、海洋汚染や地球温暖化への対応策として脱プラスチックは重要課題となっています。このSDGsへの取り組みの観点からも、近年、国や企業において脱プラスチックが強化されています。
●国内の状況
日本では、2022年4月から「プラスチック資源循環促進法(以下、プラスチック新法)」が施行され、地球に優しい循環型経済(サーキュラーエコノミー)を構築するべく、基本原則である「3R+Renewable」を推進しています。
「3R+Renewable」は無駄なゴミを出さず、ゴミの発生量を減らす「Reduce(リデュース)」、物を何度も繰り返し使用する「Reuse(リユース)」、ゴミを資源として再生利用する「Recycle(リサイクル)」の3つのRに、再生可能な資源に替える「Renewable(リニューアブル)」を加えた総称です。
事業活動に伴い排出されるプラスチックを使った製品や関連資材などの産業廃棄物などが対象となるため、梱包に利用する緩衝材・梱包材についてもプラスチック製のものであれば該当します。
こうした背景から、日本の企業全体が脱プラスチックに取り組んでおり、対応は急務となっています。
【関連リンク】
>SDGsに配慮したパッケージとは?脱プラと段ボール利用の勧め
>どうなるプラスチック規制?各国の状況と代替手段のご紹介
>脱プラスチックの代替品の活用で環境に優しい企業経営を
2.脱プラスチックとなる緩衝材・梱包材の一つ段ボール素材とは

緩衝材・梱包材の脱プラスチックの方法の一つが、段ボール素材に代替することです。段ボール素材の緩衝材・梱包材とはどのようなものなのでしょうか。種類と特徴を紹介します。
●段ボール素材を用いた緩衝材・梱包材の種類
・段ボール箱(梱包材)
製品を梱包するのに利用する段ボール箱です。汎用的に製品などの荷物を配送する際に利用されています。
・巻き段ボール(緩衝材)
薄い段ボールで、巻くだけで内容物を包み込むことができる緩衝材です。
・立体構造に成型した緩衝材(緩衝材)
内容物に合わせて立体的な構造に成型している緩衝材であり、使用することで四隅にはめこんで衝撃を少なくしたり、細かい部品がバラバラにならないように梱包したりすることが可能です。
・組仕切(緩衝材)
段ボールの中に、仕切りとして利用するものです。組み立てて利用します。
【関連リンク】
>環境に優しい緩衝材 ~段ボールを利用しSDGsに貢献
●段ボール素材の特徴
段ボールは素材としてさまざまな特徴があります。
まず、段ボールはほぼ100%リサイクルが可能な資材です。日本では段ボールのリサイクル率が95%を超えていることから、段ボールを利用するということは、すなわちリサイクルに貢献できるということです。
【関連リンク】
>段ボールと今注目されているSDGsの関係性とは?
3.段ボール素材を用いた緩衝材・梱包材のメリット

段ボール素材を用いた緩衝材・梱包材のメリットを確認していきましょう。
●環境への配慮・SDGsへの貢献・プラスチック新法への対応
段ボール素材は前述の通り、環境に優しい特性があります。そのため、利用することはすなわち環境への配慮・SDGsへの貢献・プラスチック新法への対応、すべてにつながります。
●保護性が高い
段ボールは比較的保護性が高いことから、プラスチックよりも衝撃などに耐え得る可能性があります。
●形状の柔軟性が高い
段ボールは形状を柔軟に変更することができるため、外装箱の無駄なスペースを削減したり、箱の内部に利用する立体構造に成型した緩衝材や組仕切などは中身に応じて柔軟に設計することができます。
【事例】
ここで、段ボール素材の緩衝材の事例を一つご紹介します。
日本トーカンパッケージでは「CFG(Cushion Flexible Gluer)」という段ボール製の成型緩衝材製品を取り扱っています。
CFGという段ボールの積層作業を自動成形する加工技術を用いており、発泡スチロールの代替えの緩衝材として展開しています。
商品ごとに包装設計を行い、段ボールシートを木型で打抜き、自動成形機(CFG機)で成形して製造します。これにより、商品の特性にあった色々な形に柔軟に成形することが可能です。
段ボール素材の緩衝材をご検討の際にはぜひ候補に入れていただければと思います。
4.脱プラスチックに向けた取り組み事例
現在、多くの企業が環境保護の一環として「脱プラスチック」の取り組みを進めています。特に、緩衝材におけるプラスチックの削減は重要な課題です。ここでは、バカルディとキヤノンの二つの企業の事例を紹介します。
まず、バカルディは年間約275トンの使い捨てプラスチックを削減することに成功しています。この成果は、プラスチックを取り除き、持続可能な方法で調達した代替品を使用する革新的な新デザインによって実現されました。具体的には、バカルディは贈答品において、森林管理協議会(FSC)の認証を受けた段ボールを使用するほか、バイオベースの新パッケージ素材を使用しています。
一方、キヤノンも脱プラスチックの取り組みを積極的に進めています。例えば、Vlogカメラでは、従来のプラスチック製トレイや袋に代わり、段ボールや植物由来の不織布、紙素材を使用しています。この取り組みは、環境への負荷を軽減するだけでなく、2023年の日本パッケージングコンテストで「電気・機器包装部門賞」を受賞するなど、高く評価されています。また、インクジェットプリンターでは、包装材を発泡スチロールからパルプモールドに変更し、使い捨てプラスチックを大幅に削減しました。これにより、梱包材の97.2%が紙製となり、環境への配慮が一層強化されました。
これらの事例からも分かるように、脱プラスチックの取り組みは単なるコスト削減だけでなく、企業の社会的責任としても重要な要素となっています。情報を収集し、持続可能な素材を利用することで、企業は環境保護と経済的利益を両立させることが可能です。
5.段ボール素材を用いた緩衝材・梱包材の導入による将来

今後、段ボール素材を用いた緩衝材・梱包材の導入を進めることにより、さまざまな明るい未来につながっていくと考えられます。
企業が脱プラスチックおよび段ボール素材転換や導入を進めることにより、地球環境保全につながります。
また緩衝材や梱包材を切り替えることは、社会への貢献のほか、自社の成長やイメージ向上にも寄与するため、企業にとっては良いことばかりといえます。
ぜひ少しずつであっても、取り組みを進めて行きましょう。
6.まとめ
脱プラスチックの流れを受け、緩衝材・梱包材においても環境に配慮した素材選びが求められています。段ボール素材はその一つであり、メーカーや物流業界にとって新たな選択肢となるでしょう。
日本トーカンパッケージでは「CFG」のほか、「たもっちゃん」という耐水性のライナーを使った段ボールも取り扱っております。ご興味のある方は、ぜひお気軽にご相談ください。