
大切な商品を輸送や運送するときに梱包する際には、商品をより強固に保護するのに「緩衝材」の使用が欠かせません。
その緩衝材の資材選びにおいては、現在、SDGs達成への取り組みを進める企業が多い中、環境問題に関連する目標達成に向け、素材には注意を払う必要があるでしょう。緩衝材の素材も持続可能で環境に優しいものを選ぶことが可能です。
そこで今回は、環境に優しい緩衝材の素材の一つとして「段ボール」を利用する方法をご紹介します。
1.梱包に使用する緩衝材とは?

緩衝材とは、衝撃を緩和することを目的とした資材を指します。主に製品を輸送中の振動などから保護するために利用されます。緩衝材は製品が破損することなく目的地に到着することを保証し、顧客満足度を高めることに繋がります。製品の形状や重量、輸送方法に応じて適切に使用されることで、製品輸送における安全性を大幅に向上させます。
緩衝材には、発泡スチロールやエアキャップ、フォームパッド、紙パッド、そして最近では環境に優しい素材を使用したものなど多岐にわたる種類があります。それぞれの緩衝材は、異なる特性と用途を持っており、製品の特性や輸送条件に応じて最適な選択が求められます。さらに緩衝材は製品の保護だけでなく、梱包作業の効率化やコスト削減にも寄与しています。
近年ではSDGsの観点から、環境に配慮した緩衝材の使用が推奨されるようになっています。再生可能な素材やリサイクル可能な緩衝材の導入は、企業の社会的責任を果たすだけでなく、消費者からの信頼を得るための重要なステップとなっており、製品の保護と環境への配慮を両立させることが現代のビジネスにおいて求められる重要な課題となっているのです。
2.緩衝材の種類
多くの種類がある緩衝材は、使われている素材で分類することができます。
●プラスチック製
プラスチック製の緩衝材は軽量で耐久性があり、さまざまな形状に加工できるため、広く利用されています。
・発泡スチロール
発泡スチロールは軽量で衝撃吸収性に優れた素材です。家電製品や精密機器の梱包によく使用されます。
メリット: 軽量で取り扱いやすく、優れた断熱性があります。
デメリット: 環境負荷が高く、リサイクルが難しい場合があります。
・バラ緩衝材(円柱型・まゆ型)
小さな粒状のプラスチック素材で隙間を埋めるのに適しています。
メリット: 柔軟性がありさまざまな形状の物品にフィットします。
デメリット: 散乱しやすく、廃棄物としての管理が必要です。
・エアークッション(プチプチ)
ポリエチレンを使用した気泡緩衝材は軽量で衝撃を吸収しやすいのが特徴です。
メリット: 軽量でコストが低く簡単に使用できます。
デメリット: 破れやすく長期間の使用には不向きです。
●紙製緩衝材
紙製の緩衝材は環境に優しくリサイクルが容易なため、持続可能な選択肢として注目されています。
・クッションペーパー
食器やガラス製品を包むのに適した柔らかい紙素材です。
メリット: 環境に優しく、リサイクルが容易です。
デメリット: 耐水性に欠け湿気に弱いです。
・パルプモールド
古紙を成型して作られた緩衝材で特に卵や食品の梱包に使用されます。
メリット: リサイクル可能で環境負荷が低いです。
デメリット: 強度が限られており重い物品には不向きです。
●段ボール製緩衝材
段ボール製の緩衝材は、再利用可能でリサイクルが容易なため環境に配慮した選択肢として人気があります。
・巻き段ボール
柔軟性があり、さまざまな形状に対応できるため、家具や大きな物品の保護に適しています。
メリット: 再利用可能で環境に優しいです。
デメリット: 湿気に弱く長期間の保管には不向きです。
・立体構造緩衝材
特殊な形状に成型された段ボールで特定の製品に合わせて設計されます。
メリット: 高い保護性能を持ち製品にフィットします。
デメリット: カスタム設計が必要でコストが高くなる場合があります。
3.段ボールの緩衝材利用によるSDGs貢献
緩衝材は、段ボール製を利用することにより、SDGsに貢献することができます。
SDGsとは国連サミット採択された国際目標で、「持続可能な開発目標」のことを指します。17のゴール・169のターゲットから構成されており、貧困と飢餓、不平等、ジェンダー平等、地球と天然資源の永続的な保護、持続的な経済成長、働きがいなど、あらゆる地球上の課題が幅広く取り扱われています。
国内でも政府、企業、個人が2030年までの目標達成に向けて取り組んでいます。
段ボール緩衝材を率先して利用することで、このSDGsの複数の目標達成に近づきます。その理由として次のことが挙げられます。
●リサイクル可能
段ボールは、95%以上がリサイクルされており、リサイクルシステムがしっかりと作り上げられています。そのため、森林資源の保護につながります。
●CO2排出量削減
リサイクルの際、段ボールは水によって繊維状となることから、リサイクル工程におけるCO2排出量削減などにつながるため、環境負荷も低いのも特徴です。
SDGsのゴールの中には、「13.気候変動に具体的な対策を」という温室効果ガスの排出を原因とする地球温暖化現象がもたらす気候変動やその影響を軽減するための具体的な対策を講じるための目標や、「15.陸の豊かさも守ろう」という森林資源の保護も含む目標があり、段ボール素材の緩衝材を積極的に利用することで、これらのSDGsゴール達成に貢献できます。
【関連コラム】
>段ボールでSDGsに貢献~リサイクルの仕組みと企業メリット~
4.段ボールによる緩衝材の種類

段ボールを素材とする緩衝材には、主に次の種類があります。
●巻き段ボール
巻き段ボールとは、梱包物を覆うことのできるシート状の段ボールのことを指します。裏表の片面がフラットで、片面が波状になっていることが多く、波状であることから包む対象物との接触しやすいため、緩衝性が高いのが特徴です。折り曲げも容易であることから、複雑な形状に適しています。二重に巻くことで、より中のものを保護できます。
●立体構造に成型した緩衝材
段ボールを組み立て、立体構造にして梱包物の中に入れ、緩衝材として利用します。立体にするときには通常、組み立て機械を利用します。
家電製品などの段ボール梱包の際に、四隅にはめこんで衝撃を少なくしたり、細かい部品がバラバラにならないように収納スペースを設けて中に入れて梱包したりすることが可能です。他にも臨機応変に形状を変更して利用できる利便性の高さもメリットです。
●仕切形状
仕切形状とは、段ボールの中に、仕切として利用するものです。使用前に組まれた状態になっており、使用時に起こしてセットするタイプが一般的です。
使用時の簡便性が特徴ですが、製造時の組み立ては手作業である ため、製造者の人的負担が大きいというデメリットがあります。SDGsには、「8.働きがいも経済成長も」というゴールがありますが、その中には、人の働きの割合の大きい労働集約型の産業について、技術の向上や機械化などによる経済の生産性を上げることも含まれています。組み立ての手作業を機械により自動化することは、今、求められている施策といえます。
5.まとめ
緩衝材は、大切な商品や物品を梱包するのに欠かせない保護の役割を果たします。さまざまな種類がある中で、段ボールは環境負荷が少なく、プラスチックの代替としておすすめの素材です。
日本トーカンパッケージでは、「CFG」という段ボール製の成型緩衝材製品と、「OTOR仕切挿入機」という仕切利用を効率化する機器を取り扱っています。
CFGは段ボールシートを積層状にする作業を独自に開発した自動成型機によって成型するため、安定した品質をご提供できます。四隅に使用する角当て三角コーナーパットとしての活用など、さまざまな用途に成型できます。コスト削減のご提案も可能です。
OTOR仕切挿入機は、製函されたケースに、組み立てた仕切を自動挿入する機器であり、製造から使用時まで、極力人手に頼らないシステムです。 仕切は組み立てず、平らな状態で納品されるので、保管スペースの圧縮も可能です。
いずれもSDGs貢献につながるご提案が可能な製品・サービスです。ぜひお気軽にご相談ください。