新型コロナウイルス感染症の感染拡大を受け、世界経済に大きな変化がもたらされる中、住宅建築需要の高まりから建築用木材をはじめとした木材価格の高騰問題が生じています。国内でも住宅建築業界のほか、木材を使用する業界全体に影響が生じており、物流業界においては包装資材の木製パレットや木枠材にも顕在化しています。
そこで今回は、ウッドショックによる影響とともに、物流におけるウッドショックの対策を包装材・梱包材の視点からご提案します。
1.ウッドショックとは
ウッドショックとは「木材価格の高騰」を指します。建築用木材の供給が需要に追いつかないことに起因するもので、1970年代に発生した「オイルショック」になぞらえて、そう呼ばれています。
建築用木材の供給が需要に追いつかなくなっている背景には、2020年に生じた新型コロナウイルス感染症による影響による住宅建築需要の大幅な伸長があるといわれています。
また建築用木材の原料は、もともと虫害や山火事等で原料が不足していたところ、コロナで製材所の休業を余儀なくされたところもありました。
その木材価格高騰の影響が日本にも及んでいます。
2.ウッドショックが国内にもたらす影響
ウッドショックが国内にもたらす影響について、主なものをご紹介します。
●国内の木材流通価格
ウッドショックは国内の木材流通価格の高騰をもたらしています。2021年から、住宅建築などに使用される丸太や製材の輸入価格の上昇が見られており、それに伴い、国内の丸太や製材価格も上昇しています。
●木材価格高騰による新築戸建住宅販売への影響
特に大きな影響が及んでいるのが、新築戸建住宅売買業です。国内では住宅の建築等に使われる木材の7割弱が輸入材であることから、影響が大きくなっています。コロナショックで落ち込んだものの、回復した矢先にウッドショックがやってきて、経済産業省による産業活動指数をみると、2020年8月をピークに輸入材の価格上昇と連動するように低下しました。納期遅延や新築住宅戸数の減少が進み、国産材利用の促進・国内産製品への切り替えが急がれています。
●包装資材の木製パレットや木枠材への影響
物流業界では、一般に木は包装資材の木製パレットや木枠材に広く使用されています。木材の価格高騰の影響が業界内で出始めています。
3.ウッドショックの対策を包装材・梱包材から実施
ウッドショックによる木製の包装資材に対する対策として、従来の木製パレットや木枠材を段ボールに転換する方法があります。
段ボールは、95%以上のリサイクル率を実現しており、水によって繊維状となることからリサイクル工程におけるCO2排出量削減などにつながるため、環境負荷も低い包装資材です。また木製の包装資材は、使用後に廃棄されますが、段ボールはリサイクルされるため、貴重な森林資源の消費を抑えることができます。
現在、多くの企業が国際目標であるSDGs(持続可能な開発目標)達成のための事業に取り組んでいますが、段ボールを積極的に採用することでSDGs事業にも貢献できます。また、梱包材を利用する事業そのものが持続可能な事業にもつながったりと、企業活動全体にも良い影響をもたらします。
現場の保管時にもメリットがあります。段ボールは使用していないときは折りたたんで保管できることで、従来のプラスチックコンテナ などと比べてスペースを取らないという点です。省スペース化によってコスト削減にもつながるでしょう。
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4.まとめ
ウッドショックの影響は、国内外で幅広い分野に広がっています。物流業界においても、その影響を肌で感じる機会があるでしょう。
包装材・梱包材に木製を利用している場合には、段ボールが代替としておすすめです。木製の梱包材は、使用後に廃棄されますが、段ボールはリサイクルされるため、森林資源の消費が少なくて済みます。このことから、持続可能な事業にも貢献できます。