いま、物流標準化の推進による、物流現場の効率化が期待されています。そうした中、段ボールも、標準化による改善が可能です。具体的にどのように実現可能なのか、標準化の事例をご紹介します。
目次
1.物流標準化とは?
物流標準化とは、物流における包材や荷積みパレットなどの資材の種類や規格を、標準に合わせて整えることをいいます。
物流の標準化には、伝票の標準化や受け渡しデータの標準化等のソフト面と、外装の標準化やパレットの標準化等のハード面があります。
●標準化が必要な背景
なぜ、物流の標準化が必要なのでしょうか。その背景として、国内の物流の人材不足の深刻化や、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴う社会・経済環境の変化、ECの台頭による物流量の急増などがあります。
輸送の多頻度化や小口化が進んでいる中、従来の物流システムではまかない切れなくなっています。
物流標準化は、これらの問題の改善方法の一つといえます。その物流の効率化に向けた改善にあたっては、荷主企業と物流企業をはじめとした関係者の連携や協力が欠かせません。
標準化の推進に向けて、物流に関わる各企業は、サプライチェーン全体の徹底した最適化を目指すことが重要です。
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2.物流標準化が荷主企業にもたらす経営的メリット
段ボールやパレットの標準化は、単なる現場の「作業改善」にとどまらず、コスト構造の改革や事業継続性の向上など、経営上の大きな優位性を生み出します。
1. 物流コストの最適化と積載効率の向上
外装サイズの規格化(モジュール化)により、パレットへの積載効率が最大化されます。トラックやコンポート内のデッドスペースが削減されることで、1便あたりの輸送効率が向上し、結果として輸送コストや燃料費の削減に直結します。
2. リードタイムの短縮と生産性の向上
伝票や外装表示のレイアウトが標準化されると、荷受け時の確認・検品作業がシンプルになり、属人化を防ぐことができます。これにより、トラックの待機時間の短縮とリードタイムの改善を同時に実現し、顧客へのサービスレベルを向上させることが可能です。
3. BCP対策と持続可能な物流の構築
物流標準化は、有事の際の企業間連携をスムーズにします。規格が共通化されていれば、災害時でも柔軟な共同配送や物流ネットワークの代替構築が可能になり、企業のBCP(事業継続計画)を強固にします。また、輸送効率の向上はCO2排出量の削減にも繋がり、サステナブルな経営を後押しします。
4. 物流DXへの基盤構築とデータの可視化
情報の形式を標準化することは、将来的な自動化やデータ駆動型の物流(DX)を導入するための前提条件となります。正確なデータ管理により、サプライチェーン全体の動きが可視化され、場当たり的ではない、中長期的な投資判断や戦略的な物流改善が可能になります。
3.段ボール箱の標準化による物流の生産性向上事例
段ボール箱の標準化は、物流業界における生産性向上に大きく寄与しています。まず、標準化された段ボール箱を使用することで、倉庫内での保管効率が飛躍的に向上します。異なるサイズや形状の箱を整理する手間が省け、スペースの有効活用が可能となります。また、積み重ねやすい設計により、パレットへの積載もスムーズに行え、輸送時の安定性も確保されます。
次に、標準化された段ボール箱は、ピッキング作業の効率化にも貢献します。同一サイズの箱を使用することで、作業員は特定のサイズや形状を探す手間が省け、迅速に商品をピックアップできます。これにより、出荷までのリードタイムが短縮され、顧客満足度の向上にもつながります。
さらに、段ボール箱の標準化は、環境負荷の軽減にも寄与します。同一サイズの箱を繰り返し使用することで、廃棄物の削減が可能となり、リサイクル効率も向上します。また、段ボール箱自体が再生紙で作られている場合、持続可能な資源利用にも貢献します。
以上のように、段ボール箱の標準化は、物流プロセス全体の効率化と環境保護において重要な役割を果たしています。企業はこの標準化を進めることで、コスト削減と持続可能な物流体制の構築が期待できます。
3-1.段ボール箱の外装表示を標準化した事例
ある食品製造メーカーは、商品を入れていた段ボール箱の外装表示に統一性がない状況でした。表示の位置や項目などが商品ごとの規格になっており、物流コードや商品名の表示位置、文字フォント等がバラバラでした。そのため、確認時に時間を必要以上に要したり、商品入れ間違いなどのミスの発生につながったりしていました。
そこで、視認性を高め、商品の仕分けや検品時の作業効率向上を図ることを目的として、段ボール箱の外装表示の標準化を実施しました。"配送ドライバーや店舗スタッフに「考えさせない」「探させない」外装"をコンセプトに、外装表示の統一のためのガイドラインを定めました。
新旧の伝票で商品を選択するテストを実施したところ、不正解率が改善するとともに、選択時間も短縮しました。
3-2.段ボール箱の標準化による面積率の効率化を実現した事例
ある食品ブランド企業は、商品をパレットに積載する際、無駄なスペースが発生していました。
そこで、1パレットあたりの積載スペースを最大限に活用し、倉庫保管効率と車両積載効率の向上を図るため、商品の段ボール箱のサイズをパレットサイズに合わせることによる標準化を行いました。
パレットに対する使用面積率80%以上を目標として標準化を行いました。また、新商品開発申請時の標準化チェックも実施。面積率が80%に満たない場合は改善方法を提示し、改善完了まで管理しました。
効果として、面積率80%以上のSKU(※)数は、66.1%だったところ、4年後には72.4%に改善しました。
※SKU:Stock Keeping Unitの略。受発注・在庫管理を行うときの、最小の管理単位。
3-3.段ボール箱の標準化による輸配送・荷役作業の効率化を実現した事例
アパレル・ファッション業界においては、従来、各事業者が商品形態に合わせた段ボール箱の規格を決めていました。そのため、トラックへの積載効率や納品先での荷役作業については考慮されておらず、積載効率が低く、仕分け時の作業時間がかかるといった課題がありました。
そこで業界全体で問題意識を共有し、段ボール箱のサイズを標準化することで物流の効率化を図りました。
まず、商品の種類を2種類に分けて、各8サイズを標準規格として定めました。さらに開封時などにテープをはがしやすくするための切り込み箇所や、文字の印字場所なども標準化しました。
結果、輸送や荷役の作業性が大幅に向上しました。
3-4.段ボール箱の標準化による待機時間の短縮
花き卸売の現場では、多様な種類の切り花を取り扱うことから、配送に使用される段ボール箱の種類は商品の数だけ存在していました。そのため、パレットを使用するとトラックの積載効率が低下するため、バラ積みされていました。
それが原因で、大型トラック1台への積み込み時や荷卸し時の荷役時間はそれぞれ約2時間程度となり、積卸しバースが限られている場合には、長時間に渡る荷卸し待ちも発生していました。ドライバーの荷役時間、待機時間が長引いていたため、短縮する必要がありました。
そこで、トラックへの積載方法をバラ積みからパレット積みへと変更しました。さらに、パレットに積む段ボール箱のサイズを、パレットに合わせて4サイズ分の設計を行いました。
結果として、人件費削減、作業時間削減を実現しました。
4.まとめ
物流標準化は、荷主企業や物流企業など関係各社が協力し合いながら、物流改善のために実施されています。特に段ボールによる物流標準化は、幅広い手段があり、効果が期待できます。
日本トーカンパッケージでは、段ボールをはじめとしたパッケージ総合支援を行っております。段ボールの製造・販売・包装設計及び、デザイン・包装試験・包装システム設計・システムの設置・保全を連動して対応しています。
段ボールによる標準化の際にも、ご相談いただければ、お客様のご要望や環境に最も適したご提案が可能です。ぜひお気軽にご相談ください。






