近年、物流業界や荷主にとって、物流2024年問題をはじめとしたさまざまな課題があることから、物流効率化が求められています。
そこで今回は、物流効率化が求められる背景と物流効率化を実現するメリットや物流効率化を実現する方法をご紹介します。
1.物流効率化が求められる背景
現在、物流業務に携わる企業は、さまざまな課題に直面しており、物流効率化が求められています。
その背景として、「物流2024年問題」があります。
物流2024年問題とは、働き方改革関連法によって2024年4月以降からトラックドライバーの年間時間外労働の上限が960時間に制限されることで生じる諸問題のことを指します。
トラックドライバーにとっては労働環境が改善されるメリットもありますが、運送会社にとっては1日に運べる荷物の量が減るため、運賃を上げなければ売上や利益が減少することにつながってしまいます。また労働時間の減少は、ドライバーの収入減につながります。
これらのことから、物流効率化を目指すことは急務となっています。
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●物流総合効率化法の認定を受けることも有効
このような中、政府は物流効率化を目指す企業を支援する制度を整えています。その一つに、物流総合効率化法があります。認定を受けることで、物流効率化を推進しやすくなります。
物流総合効率化法とは、平成17年10月に施行された「流通業務の総合化及び効率化の促進に関する法律」のことで、税制特例や経費補助、物流拠点の開発許可の配慮などの規定が設けられています。
物流総合効率化法の認定を受けるメリットとして、次のことが考えられます。
・補助金・税金の特例を受けられる
同法には、法人税や固定資産税の特例や運行経費の一部補助などの規定が設けられているため、経済的に援助を受けられます。
・物流効率化の達成
支援により施設整備が進めば、業務効率化を推進できます。省人化が進み、人材不足の解消やコストカットにつなげられます。
国土交通省は、物流総合効率化法の認定を受けるメリットとして、次の3点を挙げています。
・営業倉庫に対する法人税や固定資産税・都市計画税の減免制度
・市街化調整区域に物流施設を建設する場合の開発許可に関する配慮
・モーダルシフト等の取り組みに対する計画策定経費や運行経費等の補助 等
出典:国土交通省「物流総合効率化法について」
https://www.mlit.go.jp/seisakutokatsu/freight/bukkouhou.html
認定を受けるには、運輸局に申請し、相談しながら事業計画を作成する必要があります。
2.物流効率化を実現するメリット
物流効率化を実現することで、次のようなメリットが得られます。
●作業効率化によるスタッフの負荷軽減
物流効率化の代表的な施策が、システムやピッキングロボットの導入です。また物流業務のアウトソーシングを利用することもあるでしょう。このように業務効率化が実現できれば、従来の作業スタッフの負荷が削減できます。
●人材不足の解消
システム導入による自動化で人員を減らすことができれば、人手不足を解消することもできます。
また物流効率化によって負荷の高い業務が減少すれば、労働環境の改善につながり、働きやすい環境づくりができるため、採用面でも有利になります。
●人件費削減
倉庫管理システムなどの導入は、管理の自動化により人件費を削減できます。また荷物や商品の保管費を下げたり、滞留在庫を減らしたりすることができるため、人件費削減につながります。
●物流品質の向上
物流効率化によってヒューマンエラーを防ぐことにより、物流業務の品質が高まります。その結果、サービス品質や顧客満足度の向上も期待できます。
このように、物流効率化を実現するメリットと重要性は大きいものです。
3.主な物流業務を解説
ここで、主な物流業務を確認しておきましょう。
・受注
商品を受注した後に、受注情報の管理を行います。商品が倉庫にどのくらいあるのか在庫確認し、受注情報をもとに出荷指示書や納品書を作成します。
・商品の入出庫・棚入れ
商品の倉庫への入出庫や棚入れなどを行います。日付や個数など細かく管理を行うため、近年は、商品にバーコードを貼付し、ハンディターミナルで読み取る方法が多く採用されています。これにより、データによる管理が推進できます。
・検品
商品は倉庫内に掲載することで検品作業を行い、品質を維持します。入庫した荷物の点数と伝票を照合するほか、外装の破損が見つかれば対策します。
・商品の在庫管理・保管
倉庫にある商品の種類や個数などを確認します。変化を常に把握し、在庫管理を行います。
・ピッキングと梱包
受注があれば、商品のピッキングと梱包作業を行います。ピッキングとは、該当商品を倉庫棚から正確に集めてくる作業を指します。そしてトラックなどに載せて運んでも破損しないよう、荷物を梱包します。梱包作業は特に大掛かりで手間と時間のかかるため、自動化が行われています。
・発送
梱包後は、どのような配送ルートで運ぶのかを決めたり、送り状を作成したりする発送業務を行います。
・輸送・配送
トラックなどを用いて商品を輸送・配送します。
・棚卸
倉庫内の商品については、定期的にデータ上の在庫数と現物数が合っているかの棚卸業務を行います。
・返品処理
発送後、商品を受け取った顧客から返品があった場合は、再入庫します。検品を行い、交換や返金を行います。
4.物流効率化を実現する4つのポイント
物流効率化実現するためには、次のようなポイントを押さえることで有意義に実施できるでしょう。
●倉庫内の作業を改善して標準化する
倉庫などの物流拠点内の作業を見直し、ムダをなくしながら改善したり、標準化を図ったりすることで、業務効率化が見込めます。例えばピッキングの作業効率の良くない配置やヒューマンエラーが多いなどの場合は、見直しを図ることで効率化します。スピードや正確性が向上することも期待できます。
また、現場の作業手順を記載したマニュアルを作成することで、作業の標準化を行うことも重要な取り組みです。これにより、誰が行っても同じ業務効率と結果が確保できます。
・梱包作業改善の例
倉庫内で行う梱包作業は、トーカンパッケージの包装仕様・包装設備サービス「トーカンエコパシリーズ」によって効率化することができます。
このシリーズは、複数の資材と製函機のセットをソリューションとしてご提供するものです。
例えば製函機を用いたEC向け総合システム「EC スリムカートン」のソリューションは、さまざまな種類の箱を製函機で高速に組み立てることができるため、作業の自動化による梱包業務効率化が実現します。
一般的な梱包作業にかかっている時間は、手作業による箱組みだけでも1ケース当たり10〜15秒ほどと仮定すると、EC スリムカートンではおよそ半分程度の時間に減らすことができます。スタッフの手組みで1ケース当たり約14秒かかっていた段ボール箱の組み立て作業が、冶具を用いて組み立てると、1ケース約7秒に短縮できた事例があります。これも物流効率化といえます。
●共同配送を採用して効率化とコスト削減につなげる
共同配送を採用することも一つの方法です。共同配送とは、納品先が共通する配送会社同士が荷物を持ち寄り、特定エリアの配送を共同で行うことを指します。トラックの積載効率向上やコスト削減につながります。
●配送ルートの拠点を集約して車両数を削減する
配送ルートには複数の拠点があることもありますが、それが非効率を生み出している恐れもあります。ムダをなくすためにも、拠点を集約し、拠点数を少なくすることで、必要な車両の数を減らすといった取り組みが有効です。
●管理システム導入で業務を効率化する
管理システムを導入することで無駄がなくなり、効率化につながります。管理システムには実にさまざまな種類があるため、導入してみてはいかがでしょうか。主な管理システムをご紹介します。
・倉庫管理システム
倉庫管理システムとは、倉庫内の物流プロセスを管理することで効率化するシステムです。在庫管理システムと呼ばれるシステムと機能が似ていることがあり、同等のシステムとして扱われることもあります。
受発注業務から入出庫業務、配送業務まで一連の管理が可能です。商品にバーコードを付けて管理すると在庫状態をシステム上で見える化できます。在庫状況がリアルタイムで確認することができるので、物流業務の効率化につながります。
・ピッキングシステム
ピッキングシステムとは、倉庫で行うピッキング作業を効率化するためのシステムです。
さまざまな種類がありますが、多くのピッキングシステムはハンディターミナルで人のピッキング作業を補助するタイプです。商品へのバーコード貼付、およびハンディターミナルの読み取りなどを通じて、ピッキングそのものを効率化できます。
人手を伴わないロボットを使用する全自動タイプは、近年、大型倉庫に採用されています。
・配車管理システム
配車システムとは、トラックなどの配送車両が複数台ある場合に、効率的に配車できるシステムです。GPS機能や地図ソフトによって配車ルート計画が自動作成されるので、最適な配送ルートの中から選んで採用できます。このように配送が効率化する仕組みが整っています。
5.まとめ
近年の物流業界の課題を受け、物流効率化のために、さまざまな取り組みが行われています。
その中でも、トーカンパッケージでは、現場作業の見直しを、梱包効率化・自動化によって解決するためのお手伝いが可能です。ぜひお気軽にご相談ください。物流効率化のご提案をさせていただきます。