物流の自動化 ~省人化・省力化をどう進めるか

近年、物流業界の人手不足は大きな社会問題となっています。特に物流2024年問題を受けて「運べなくなる」状況が懸念されており、長時間労働を削減しながら生産性向上施策も取らなければなりません。その施策の一つが物流の自動化による省人化・省力化です。今回は、その自動化とは何か、自動化の効果や方法をご紹介します。

1.物流の自動化とは?

「物流を自動化する」と一口に言っても、物流工程におけるさまざまなシーンで行われています。

最も物流の自動化が進んでいるのは、商品や配送物の物流倉庫への入庫から仕分け、ピッキング、保管作業の一部です。主に仕分け作業の自動化が進んでいます。仕分け作業の自動化とは、倉庫に届いたモノをルールに従って分類し、適切な場所に配置する作業を自動化することをいいます。

例えば、倉庫に入った商品は検品して種類別に仕分けをするのが一般的ですが、その検品・分類作業をシステムで行うことができます。また、商品を多数保管している中から必要なもののピックアップをロボットが行う物流倉庫もあります。

2.物流の自動化が進む背景は?

物流の自働化が進む背景は様々ですが、主なものについて紹介します。

1.物流需要の増加
EC利用者の拡大や巣ごもり需要の影響を受け、物流業界の規模は年々増加しています。
配送数は今後も増え続け、物流需要は増す一方とされています。

2.労働力の減少
物流需要が増し続ける一方で、労働人口の減少にともなう人手不足は深刻化しています。
増え続ける運送業務に少人数で対応しなければならない現場も多く、労働時間及び労働環境の見直しの必要性が高まっています。

3.物流2024年問題対策
働き方改革関連法を受け、2024年4月からドライバーの労働時間に上限が設定されます。
人手が減っても生産性を維持するために、システム・ツールの導入や梱包業務の自動化などといった倉庫業務・運送業務全体の自動化を導入する動きが拡大しつつあります。

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3.物流の自動化のメリット

物流の自動化が進むことで、さまざまメリットが得られます。主な効果を見ていきましょう。

●省人化
ロボットやシステム活用による物流自動化により、人手を減らすことができるので、省人化の効果が期待できます。物流業界全般に人手不足が深刻化していることから、省人化は最も期待が高まる効果といえます。

●業務効率・生産性の向上
物流の自動化は、従来の「人」が行っていた作業をロボットやシステムが代替することから、その分、「人」が行う作業が減ることで、業務効率化につながります。その業務効率化の積み重ねにより、生産性の向上が期待できます。

●コスト削減
自動化により人的リソースが不要になれば、人件費が削減できます。ただし、自動化によってシステム導入費や運用費などがかかることから、一概には言えません。自動化コストをいかに抑えることができるかが、コスト削減のカギといえます。

●業務品質の安定化
人の手による作業は、必ずヒューマンエラーが付きまといます。しかし自動化すれば故障しない限り、ミスは起きません。結果的に業務の品質が向上し、安定化も期待できます。

4.物流の自動化のデメリット

物流倉庫の自動化は、業務効率化やコスト削減といったメリットが多い一方で、デメリットもあります。導入を検討するうえでは、デメリットについても事前に把握しておくことが大切です。
ここからは、物流業務を自動化する場合に発生する可能性のあるデメリットについて紹介します。

●導入・運用コストがかかる
ほとんどの場合、自動化の導入には初期費用がかかることです。高度なシステムや設備の導入には、多大な初期費用がかかります。
オーバースペックの過度な設備投入をしてしまうと、思いのほか費用対効果が見込めないというリスクも起こり得ます。
そのため、実際に設備を導入した場合にはどの程度コスト削減を図れるのかをしっかりと計算したうえで、初期費用・運用費用と比較して導入を検討するべきです。
特に自動倉庫システムや搬送システムなどの高機能な自動化システムを導入する場合は導入・運用コストが大きくなりやすいため、事前に運用後の費用対効果の検証が必要です。

●運用体制の確立
これまで人員で行っていた作業を自動化する場合、人員の配置は削減できますが、その一方でデータ運用のための新しい体制やオペレーションの確立が必要になります。
また、万が一の話にはなりますが、システムトラブルが発生した場合に備えてマニュアルを作成し、周知する必要もあります。
また、導入システムの影響範囲をチェックしておくことも必要です。システムに障害が発生した場合、納期に支障がないかを検証したり、バックアップなどの対応を検討することが重要です。
自動化のソリューションを導入してから運用が拡充するまでの期間には想定外のことも起き得ると認識し、運用体制を確立することが求められます。

●柔軟性の不足
自動化システムの導入により作業者の負担や人為的なミスを減らせるメリットがある一方で、無人搬送車や無人搬送機などのロボットなどの機械にはあらかじめ入力されたルールでしか動けないデメリットがあります。
これまでは人が柔軟に判断し対応していたような汎用性の低い業務については、自動化は向いていない場合もあります。

5.物流自動化の方法

物流の自動化は、具体的にどのような手法で実施されているのでしょうか。現場ですでに実施されている方法をご紹介します。

5-1.自動ピッキングシステム・自動搬送ロボットの活用

物流工程において、倉庫内にある出荷が決まった商品は、ピッキングを行う必要があります。該当商品を探して、持ってくる作業です。このピッキングの自動化は、業務効率を高めるためよく行われています。自動ピッキングシステムと呼ばれるものが利用されますが、さまざまな種類があります。
最も一般的なのは、ハンディターミナルを用いて、商品のバーコードを読み込んで照合するシステムです。これにより、正確かつスピーディーにピッキングが行えます。また、ロボットアームが、まるで人間が腕を伸ばすかのように商品を取って持ってくるピッキング機能のある自動搬送ロボットもあります。

5-2.倉庫管理・在庫管理システムの活用

倉庫内の在庫や入出荷情報などの情報を一元管理できるシステムを導入することで、商品の入庫から保管、搬送、出庫までの一連の流れを自動化することが可能です。入出荷の動きをリアルタイムで確認できるので、ピッキングや検品作業が効率化します。

5-3.梱包作業の自動化システムの活用

商品を箱詰めする際、箱の組み立てから手動で行っている場合、時間と手間、人件費がかかります。昨今活性化しているECの配送業務などでは、大きな課題となっています。その課題を解決するのが、梱包作業の自動化システムです。
例えば、日本トーカンパッケージの自動製函システム「トーカン アシスト Box」 は、段ボールシートを機械へセットすると、箱組みが自動で行えるシステムです。これを導入し、活用することで梱包作業の効率化や人件費削減、また人為的なミスを減らせることが期待できます。
また、「エコクイックBOX」という独自開発の自動給紙機のある製函機を使用してEC向けパッケージの組立作業の省人化・省力化を実現するサービスもあります。エコクイックBOXの箱ならパッケージの面積の削減ができるので、パッケージコストの削減にもつながります。

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5-4.段ボール仕切の成型作業の自動化を行う

商品梱包の際には、商品と共に「仕切」を挿入することがあります。段ボール製の仕切は、多様な形に成型して使われていますが、複雑な形状が多いことから、成型は機械を用いるほうが効率的です。 当社では、「OTOR 自動仕切り挿入機」という段ボール仕切の成型と箱への挿入を自動化する機器を取り扱っています。成型作業はもちろんのこと、挿入も自動化することで、大幅な省人化・省力化につながります。

6.まとめ

物流の自動化は、人手不足で業務効率化を急がなければならない物流業界において、省人化・省力化につながる有効な施策といえます。
さまざまな自動化の方法がありますが、費用対効果の検証・現場への導入が容易な段ボールの梱包作業や仕切の成型・挿入作業の自動化をご希望の際には、当社の製品やシステムをご活用いただくことをおすすめします。

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