段ボールで目指す「ホワイト物流」推進運動

近年、物流業界では人手不足が問題視されている中、「ホワイト物流」推進運動を一つの背景に、対策が積極的に行われています。さまざまなアプローチがある中で、段ボールの改善から取り組むことも可能です。そこで今回は、「ホワイト物流」推進運動の概要や実施の背景、解決策の一つとしての段ボールによる改善方法をご紹介します。

1.「ホワイト物流」推進運動とは

「ホワイト物流」推進運動とは、国土交通省主導で行われている運動です。

現在、物流業界においては、特にトラック運転者不足が深刻になっています。そうした中、この運動は、物流を安定的に確保するとともに、経済の成長に役立つことを目的として取り組まれています。

「ホワイト物流」推進運動の具体的な目的は、2つあります。一つは、「トラック輸送の生産性の向上・物流の効率化」であり、もう一つは「女性や60代の運転者等も働きやすいより『ホワイト』な労働環境の実現」です。

トラックドライバー不足の背景には、積込・積降し等荷役作業の肉体的な負担や、出荷元・納品先での待ち時間の長さが影響する長時間労働などがあります。荷役作業や待ち時間については、出荷元や納品先での物流業務の効率化によって対策を取ることができます。

こうした対策を講じるためには、荷主企業や納品先企業や一般生活者の協力が必要不可欠です。つまり「ホワイト物流」推進運動は、物流業界のみならず、一般企業全体にも影響する運動と言えます。

2.物流業界が抱える人材問題

物流業界のうち、トラックドライバーをはじめとした運送業界の人材不足は、特に大きい問題です。運送業界が人材不足に陥っている主な原因として、次のことが考えられます。

2-1.少子高齢化による影響

日本は少子高齢化が進んでおり、特に物流業界は若手が少なく、中高年層が多いといわれています。国土交通省による「トラック運送業の現状等について」の資料では、トラック業界で働く人の約45.2%が40~54歳で、29歳以下の若年層は全体の10%以下という数字が示されています。若手を継続的に確保できなければ、人材は足りなくなる一方です。

出典:国土交通省「トラック運送業の現状等について」
https://www.mlit.go.jp/common/001272766.pdf

2-2.低賃金

厚生労働省の調査では、トラックドライバーの年間所得額は、全産業の平均と比較して、大型トラック運転者で約1割低く、中小型トラック運転者で約2割低いことが分かっています。給与の低い仕事はどうしても離職が多く、人材が根付きにくい傾向があります。

2-3.長時間労働

長時間労働も、仕事を継続しにくい、もしくは新たに就職しようという人が少なくなる要因です。厚生労働省の調査では、トラックドライバーの年間労働時間は、全産業の平均と比較して、大型トラック運転者で約1.22倍、中小型トラック運転者で約1.16倍でした。
働き方改革関連法により、2024年4月からドライバーの時間外労働時間に罰則付きの上限が設けられるようになることを背景に、長時間労働は是正される見込みがありますが、人材不足を背景に、限られた時間で業務をこなすための対策を急がなければなりません。

2-4.オンライン販売による仕事量の増加

近年は、新型コロナウイルス感染症の感染拡大による外出自粛も手伝い、EC市場が拡大しています。宅配の増加に伴う物流量の増加を背景に、より運送業界の人手不足は深刻化しています。

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3.段ボール箱の見直しによる梱包作業・積載効率向上

運送業界の人材不足の課題を解決し、「ホワイト物流」推進運動を促進するためには、出荷元や納品先での物流業務の効率化が求められています。段ボール箱の梱包・出荷形態の見直しは、その一つの有効な手段です。そこで、代表的な見直し方法をご紹介します。

3-1.段ボール箱の見直しで梱包作業効率化

梱包を段ボール箱で実施している場合、その段ボール箱を見直すことで、梱包作業の効率化を図ることができます。梱包作業の効率化が実現することで、ドライバーの荷待ち時間の削減につながることもあります。
例えば、日本トーカンパッケージの「EC スリムカートン」という製函機を用いたEC向け総合システムを導入すると、梱包作業の自動化が実現します。ポストインタイプの高さの低い発送箱を製函する機器を用いて自動組み立てを行うことで、省力化と業務効率化につながります。

3-2.段ボール箱による梱包の最適化でトラック積載効率の向上

商品をパレットに載せる際、商品を梱包する段ボールサイズが原因で無駄なスペースが発生しているケースがあります。そこで段ボール箱のサイズをパレットサイズに合わせるように標準化を推進することで、トラック積載効率の向上につながります。
段ボールを使った梱包材は、設計次第でパレットや製品に最適な形状にすることが可能です。また最適化のために特殊な形状の段ボール箱を使用したい場合も、製函機で自動化して組み立てることで、梱包作業の負荷が増えることはありません。

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4.まとめ

「ホワイト物流」推進運動は、物流企業に限らず、荷役企業など関係者が一丸となって取り組んでいく必要があります。

日本トーカンパッケージでは、段ボールによる梱包作業の効率化や梱包の見直しのご提案を行っております。例えば、トラックへの積載効率を上げるために最適な段ボールサイズのご提案も可能です。ぜひお気軽にご相談ください。