環境配慮の観点から、近年はリサイクル性の高い段ボールが資材として注目を集めています。そうした中、製品を輸出する際に段ボールパレットの活用が進んでいます。今回は、現代社会において段ボールパレットが果たす役割やその重要性をご紹介します。また段ボールパレットの選び方や最適なシーンをご紹介します。
段ボールパレットとは?
はじめに、段ボールパレットの定義とその特性をご紹介します。
●段ボールパレットとは?
段ボールパレットとは、段ボール製のパレットです。パレットとは、商品そのものや、商品が入った段ボール箱などを置き、商品をまとめて輸送するための台で、主に荷積みと荷下ろしの効率化のために利用します。
パレットの素材として、従来は木、プラスチック、金属などが主に利用されてきましたが、近年は物流に関わる企業において段ボール製パレットへの注目が高まっています。
●段ボールパレットが従来のパレットの代替として選ばれている理由
物流会社やメーカーなどの間で、段ボールパレットが従来のパレットの代替として選ばれています。その理由を見ていきましょう。
一つは、輸出用パレットとして段ボールが優れている点が多いことが挙げられます。
その優れている点の一つが、木製パレットが出荷前に燻蒸処理が必要であるのに対し、段ボールパレットなら不要である点です。
国際貿易においては、国際植物検疫条約によって海外から病害虫の侵入を防ぐために、輸入植物検疫を要求している国が多くあります。そうした国へ木材梱包材を使用した貨物を輸出しようとする場合は、輸出前に消毒や表示などを実施する必要があります。なぜなら、木材に寄生する病害虫をバラまいてしまうリスクがあるためです。木製パレットはこの規制の対象となっていることから、燻蒸のコストや手間がかかります。
また、段ボールパレットは軽量であることも優れている点の一つです。木製パレットは比較的重いため重量規制によって輸出コストがかかる恐れがあります。
木製パレットと同様によく利用されているプラスチックパレットは、燻蒸の規制対象ではなく、比較的軽量であることから、輸出時に煩雑な手間やコストはかかりません。
しかしプラスチックパレットは環境負荷が高く、世界的に問題視されていることから利用を続けることには懸念があります。
また、ワンウェイパレットとして輸出先の国で廃棄することを前提に利用する場合、プラスチック素材は産業廃棄物であるため廃棄しにくく、廃棄コストもかかります。
その点、段ボールパレットは紙製であるため、輸出先の国でリサイクル・廃棄しやすく、廃棄コストも低減できるため、ワンウェイパレットに適しています。
段ボールパレットは、紙製であることや、日本ではリサイクル体制が整っていることを理由に環境に優しいパレットです。さらに軽量である点も手伝って、木製やプラスチック製パレットの代替として注目されています。
【関連ページ】
>今注目を集める段ボールパレットとは?SDGsにも貢献
>ワンウェイパレットとは?段ボールパレットが選ばれる理由も解説!
段ボールパレットの種類とサイズ
段ボールパレットを選定する際に、ぜひ知っておきたいのが、種類とサイズです。
段ボールパレットには決まった規格があるわけではないため、パレット製造メーカーによって種類とサイズはさまざまです。
また段ボールは加工しやすい形状であるため、木製パレットなどの一般的な規格に合わせて制作することもできますし、載せる商品の形状に合わせて特殊な形状で制作することもできます。
パレットの形状による種類には、表と裏のどちらも使える「両面パレット」や、表と裏が別形状になっている「片面パレット」、パレットを運ぶ機械であるフォークリフトの差込口の違いによる「4方向差し」や「2方向差し」があります。段ボールパレットは、これらのどのような種類にも成形できます。またサイズも自由にオーダーできます。
段ボールパレットの耐荷重
段ボールパレットを木製パレットやプラスチックパレットから置き換える場合、耐荷重に不安が生じるかもしれません。段ボールパレットの耐荷重について確認しておきましょう。
●パレットの耐荷重とは?
耐荷重とは、どのくらいの荷物の重さに耐えられるかの数値です。静荷重と動荷重があります。
静荷重:物体にかかる垂直荷重が一定で、時間が経過しても変化しない重さに耐えられるかどうかを示します。
動荷重:物体にかかる荷重が均一でなく、変化する場合の重さに耐えられるかどうかを示します。
パレットの仕様として表示される最大静荷重の値は、荷物を載せたパレットを保管する際に、何段まで積み上げて保管できるのかを知る目安となります。
しかし、パレットの耐荷重は基本的に動荷重で見ます。なぜならパレットはフォークリフトで運搬するものであるためです。よってパレットは最大動荷重を想定した強度を持たせることが必要です。
●段ボールパレットの耐荷重
段ボールパレットの耐荷重は、木製パレットやプラスチックパレットよりも落ちますが、材質や構造によって高めることができます。
・垂直耐荷重2トン以上の段ボールパレット「CFG」とは?
日本トーカンパッケージの段ボールパレット「CFG」は、垂直耐荷重2トン以上を実現しています。垂直耐荷重とは垂直方向に作用する荷重に耐えられるかどうかの値です。
CFG(Cushion Flexible Gluer)とは、段ボールの加工技術の一種で、段ボールシートを型抜き加工した後、自動で蛇腹状に貼り合わせて複数積層させる手法です。
【関連ページ】
>段ボールパレット(CFG)
段ボールパレットが最適なシーン
段ボールパレットを選択するのに最適なシーンを見ていきましょう。
●形状やサイズを柔軟に変更したいとき
段ボールパレットは、加工が容易で求められる形状やサイズに成形しやすいのが特長です。そのため、時には従来のパレットでは用途や置く荷物によっては形状やサイズに合わないことが出てくるでしょう。その場合に対策として、柔軟にサイズ変更ができる段ボールパレットが有効です。
●軽量化したいとき
段ボールパレットは一つにつき重量が約6kg程度で、他の素材のパレットと比較して軽量です。木製パレットは平均20kg程度で、40kg前後のものもあります。プラスチックパレットは15kg~30kgが一般的です。段ボールパレットは、できるだけ軽量化したいシーンにおすすめです。
●環境対応したいとき
先述の通り、段ボールは環境負荷が低い素材であることから、環境対応が可能です。昨今は、SDGsの目標達成を目指す取り組みが進んでいますが、持続可能な社会、および地球に貢献する選択に、段ボールパレットが有効です。
●最適な輸出用のワンウェイパレットを利用したいとき
ワンウェイパレットとして、輸出先で燻蒸・洗浄・回収・廃棄のコストや手間の削減を行いたい場合に段ボールパレットは有効な選択肢となります。
まとめ
段ボールパレットは、環境に優しい段ボールを素材とし、柔軟に形状やサイズを変更でき、軽量化にも寄与するさまざまなメリットのあるパレットです。また輸出用のパレットに適した特長がそろっています。近年、木製パレットやプラスチックパレットからの代替として注目が高まっていることもあり、今後の選択肢の一つとなっていくでしょう。
日本トーカンパッケージでは、先にご紹介した強度と耐荷重が安定した段ボールパレット「CFG」をご提供しております。詳細はサービスページやお役立ち資料をぜひご覧ください。
>段ボールパレット(CFG)