段ボール梱包作業の基礎知識
~緩衝材の選び方や効率化方法のご紹介~

段ボール梱包作業の基礎知識~緩衝材の選び方や効率化方法のご紹介~

ECの急速な発展などを背景に物流市場も大きく成長しています。そうした中、各企業は人手不足が高じている中で、多くの商品の梱包作業を効率的に行う必要があります。同時に、破損や衝撃を防ぐ保護の役割を果たすための梱包の品質向上も必要です。特に保護性が高く資材のコストも低減できるなどのメリットの多い段ボール梱包は定番となっています。

今回は、段ボールの基本とその種類から、緩衝材の種類と選び方、梱包効率化のためのテクニックとツール、日本トーカンパッケージの梱包改善ソリューションまで、段ボール梱包作業の効率化のヒントをお届けします。

段ボールの基本とその種類

段ボールの基本とその種類

まずは段ボールの素材の基礎知識と種類を見ていきましょう。

●段ボールとは? 構造や特徴をご紹介
段ボールは、「段」のあるボール紙のことで、「表ライナ」と「中しん」と「裏ライナ」の3重構造が基本になっています。中しんは波形に加工しているボール紙であり、これを平らなボール紙である表ライナと裏ライナで上下から挟む形になっています。

中しんの波形の部分を「フルート」と呼び、段ボールの大きな特長となっています。フルートによって力学的に優れた性能を持たせることができ、高い強度を実現できます。

強度については、段ボール原紙の坪量も関係しています。坪量が大きいほど強度が増し、フルートの段が厚いほど、耐圧強度が出ます。

●段ボールの種類と選び方
段ボールには、次のような種類があります。

1.構造の違いによる分類
構造によって次のように分けられます。「片面→両面→複両面」の順に強度が高まります。

・片面段ボール...ライナ1枚と中しん1枚を貼り合わせた段ボールです。
・両面段ボール...中しんを1枚、ライナを表と裏に1枚ずつ、合計3枚を貼り合わせた最も一般的な段ボールです。
・複両面段ボール...両面段ボールの片側に、片面段ボールの中しん側(段のあるほう)を貼り合わせた段ボールです。

2.フルートの高さによる分類
フルートは高さを調整することができます。高いほど厚みのある段ボールになります。両面段ボールはフルートの高さや段の数によって呼び名がついています。

名称:段の高さ、30cmにある段の数
Aフルート:4.5~4.8mm、34±2:JIS(日本産業規格に規定)
Bフルート:2.5~2.8mm、50±2:JIS(日本産業規格に規定)
Cフルート:3.5~3.8mm、40±2:JIS(日本産業規格に規定)
Eフルート:1.10~1.15mm、80以上
Fフルート:0.60~0.75mm、120以上
Gフルート:0.50~0.55mm、180以上

Aフルート、Bフルート、CフルートはJIS(日本産業規格)に規定されています。

3.原紙の種類による分類
原紙にどのような素材を使うかによっても、強度とコストがかわってきます。原紙の強度は、JIS(日本産業規格)に規定されており、製造時に薬品を添加することで強度が保証されています。

Cライナ...古紙含有率が高く、強度はKライナよりも劣りますが、コストはKライナよりも抑えることができます。

Kライナ...バージンパルプを多く含み、強度はCライナよりも上がります。強度とコストのバランスが良いのが特徴です。

中しん原紙・・・段ボールの波形状部分に使用されています。

4.段ボール箱にしたときの形状による分類
段ボール資材を箱状に組み立てることで、段ボール箱として利用できます。その箱の形状によって主に次のような種類に分けられます。

A式...「みかん箱」と呼ばれる最も一般的な形状です。箱はフタと底をテープなどで留めて封函します。

B式...差込みフタ式ダンボール箱です。段ボールのふたの先を折り曲げ、もう片方に差し込む形であり、テープを使用せずにふたを閉じることができます。

C式...2つの箱型を作り、互いにかぶせることで梱包するタイプです。こちらもテープを使用せずにふたをすることができます。パネル・額縁類や、ギフト品などに使用されます。

N式...フタを差し込むタイプです。B式と似ていますが、N式は段ボールを内側に折り込んであるのが特徴です。その折り込みがあるおかげで、強度が高く、密封性にも優れています。ギフトケースによく使われます。

タトウ式...ヤッコ式ともう1枚の段ボール紙を、四方から内側に包み込むように梱包するタイプです。メール便などによく利用されます。

段ボール箱といってもさまざまな種類があるため、強度、コスト、形状などを用途に応じて選びましょう。

緩衝材の種類と選び方

緩衝材の種類と選び方

続いては、段ボール梱包に重要になる、段ボール箱の中に入れる緩衝材の種類と選び方をご紹介します。

●緩衝材の役割と重要性
緩衝材は、主に輸送時に生じる衝撃を吸収したり、梱包物の中身が複数あった場合、互いにぶつかって破損や変形につながるのを予防したりする、保護の重要な役割があります。

●緩衝材の特徴と製品例
緩衝材には、主にプラスチック、紙、段ボールといった材質が使われています。それぞれの代表的な製品例を見ていきましょう。

・プラスチック製
例)発泡スチロール、円柱型・まゆ型などのバラ緩衝材、ポリエチレンを使用したエアークッションや気泡緩衝材(プチプチ)、ポリエチレンシート、ウレタンを使用したクッション緩衝材など

プラスチック製は軽量でさまざまな形状があるため用途に応じて使い分けられます。一方で、近年は環境問題から脱プラスチックの流れがあるため、使用はできるだけ減らしていくことが求められています。

・紙製
例)クッションペーパー、パルプモールド、クラフト紙など

紙はやわらかく、柔軟に物品を包むことができるので、食器などの割れ物や貴重品などを包むのに適しています。プラスチックと比べ、使用後も自然界に還り、古紙としてリサイクルすることもできるため、環境負荷が少ないのが特徴です。一方で、保護性がそれほど高くなく、水濡れに弱いのが欠点です。

・段ボール製
例)巻き段ボールや立体構造に成型した緩衝材、組仕切りなど

段ボールは加工性が高く、厚みも強度もコントロールできるので、さまざまな緩衝材を製造できます。段ボールは国内でリサイクルの体制が整っているため、環境にやさしい素材でもあります。

緩衝材は用途に応じて、緩衝性能やコスト、環境への負荷などを考慮して選びましょう。

梱包効率化のためのテクニックとツール

梱包効率化のためのテクニックとツール

段ボールや緩衝材を使った梱包効率化のためのテクニックとツールをご紹介します。

●時間とコストを削減する梱包方法
・テープの貼り方を見直す
A式段ボールにはテープが欠かせません。縦1本の「縦貼り」が基本ですが、大事な商品は「十字貼り」や「H貼り」で強度を高めることをおすすめします。

・無駄な動線の見直し
梱包作業を行う作業環境を見直すことで、スピードと効率が上がることがあります。無駄な動線がないか振り返ってみましょう。

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梱包作業を自動化して効率化するには?製函機のプロが自動化方法を一挙ご紹介!

・ノンステープル段ボールを使用する
「ステープル(金属製の封緘材)」を使わなくて済むノンステープル段ボールは、テープ貼りをしなくて済むため、効率的に封緘できます。

【関連ページ】
段ボール梱包/封緘業務改善(ワンタッチ段ボール他)

●効率化を図るための梱包機械と自動化ツール
段ボールの組み立てや封緘の自動化を進めることで大幅に効率化できます。

例えば、EC向け配送箱の組み立てを、治具を用いてアシストする日本トーカンパッケージの「トーカンアシストBOX」や、半自動タイプの製函機「エコクイックBOX」などを取り入れることで効率化を目指すことができます。

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製函機 トーカンエコパシリーズ

●データ分析を活用した梱包プロセスの最適化

・梱包のプロセスの可視化による課題洗い出しと最適化
梱包のプロセスをデータ化し、可視化した上で課題を洗い出すことから改善を進めることもできます。例えば、梱包作業の各工程にかかる時間を計測し、最もスピードの早い組み合わせの梱包方法を見つけ出すといったこともデータ分析によって行うことができます。

また梱包サイズをシステムに登録しておき、現場で大きすぎるサイズの段ボール箱の利用を防ぐことで梱包資材のコスト削減や効率化が進められます。

日本トーカンパッケージの梱包改善ソリューション

日本トーカンパッケージの梱包改善ソリューション

日本トーカンパッケージの4つの梱包改善ソリューションを用いることで、段ボール梱包作業が効率化できます。

●ノンステープル(押し込みロック式)
天面が押し込みロック式になっているノンステープルタイプのケースです。テープなどの副資材を使用せずに封緘できる上に、簡単に組み立てられるのが特徴です。天面は上から押し込むとロックされる構造になっているので、大きな力をかけずに作業が可能です。 ノンステープル(押し込みロック式)

●ノンステープル(天面:交差ロック、底面:差し込みロック)
天面が交差ロック、底面が差し込みロック式になっているノンステープルタイプのケースです。底面の中心近くまで支えているため、重量のある野菜などを入れても底たわみが発生しにくいのが特徴です。きゅうり10kg用として採用された事例もあります。 ノンステープル(押し込みロック式)

●ワントランスフォーマーパッケージ
1ピースの中に外箱部と固定材部があり、組み立てることで商品の固定をしながら安定した梱包ができる箱です。固定材はロックできるので、外れてしまう心配はありません。緩衝材を入れる手間とコストを削減できます。 ワントランスフォーマーパッケージ

●ラベルフーカンパッケージ
宅配便のラベルで封緘することで、テープ不要で梱包できる箱です。上フタにあるロック機能で、ラベルで封緘した後に上フタが開いてしまう恐れはありません。 ラベルフーカンパッケージ

まとめ

段ボール梱包作業は、物流工程において重要な工程であることから、効率化を目指すことは有益な効果につながります。最適な段ボールと緩衝材の選択と、効率的な梱包方法により、段ボール梱包作業を効率化しましょう。

今回ご紹介した梱包改善ソリューションの詳細は、お役立ち資料の「物流課題を解決~ヒラメキノハコ~」でご紹介しております。さまざまな梱包効率化のほか、開封作業改善、陳列業務改善、作業性改善、コストダウン、販路拡大、SDGs対応のアイデアが詰まっています。無料でダウンロードできますので、ぜひご覧ください。

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