メーカーが取り組む
脱プラスチック成功事例3選

メーカーが取り組む脱プラスチック成功事例3選

近年、世界的に進んでいる脱プラスチックの動きは、製造メーカー各社にも活発に見られます。脱プラスチックは、どのような企業にとっても重要ですが、特にものを生み出すメーカーにとっては大きな責任があり、SDGsなどのサスティナブルな社会を目指す潮流や投資家からの要請などもあることから、急速に進めていく必要があります。

そこで今回は、脱プラスチックの意義やメーカーの取り組み事例、成功のポイントなどをご紹介します。

1.脱プラスチックの定義と背景

脱プラスチックの定義と背景

まずは脱プラスチックの定義と背景を確認しておきましょう。

●脱プラスチックとは?
脱プラスチックとは、これまでプラスチックをビジネスや業務で利用していた場合に、その使用を停止したり、別素材に代替したりする取り組みを指します。

例えば、使い捨てプラスチック容器の使用を取りやめたり、使用済プラスチック容器を回収してリサイクルに役立てたり、量り売りや紙、段ボール、木、ガラスなどの素材への代替を行ったり、再生プラスチックの開発・販売を行ったりすることを指します。

●脱プラスチックが進む背景
世界的に脱プラスチックが進んでいる背景としては、国際的なプラスチック規制やEUや米国などの各国のプラスチック規制の増加などが挙げられます。こうした世界的な動向を受け、日本でもプラスチック削減の必要性が高まっており、2022年4月1日には「プラスチック資源循環促進法」が施行されました。製品の設計から廃棄物の処理まで、プラスチックのライフサイクルすべてにおける資源循環などの取り組みを促進するための法律です。

これらの状況を背景として、国内メーカーにおいては、脱プラスチックの取り組みの必要性が増しています。

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2.脱プラスチックの成功事例3選

脱プラスチックの成功事例3選

メーカーは、実際に、どのような方法で脱プラスチックを進めているのでしょうか。ここでは3つの事例をご紹介します。それぞれの取り組み内容と成功のポイントを見ていきましょう。

●青果物梱包を発泡スチロール箱から段ボール箱へ変更
青果物の鮮度保持フィルムを製造するメーカーの事例です。この鮮度保持フィルムは特殊な加工技術により、青果物の鮮度を通常よりも長く保つことができます。枝豆やキャベツ、きゅうりなどのさまざまな青果物のフィルムに採用されています。

小ねぎの流通・梱包形態については、従来の発泡スチロール箱とポリプロピレンフィルムから、段ボール箱と鮮度保持フィルムに変更しました。鮮度保持日数を3日改善するとともにプラスチック使用量を年間約29トン削減することに成功しました。

【成功のポイント】
鮮度保持フィルム自体はプラスチック素材である一方で、商品の品質を低下させずに、必要な使用量にプラスチック量を削減した点が成功のポイントといえます。発泡スチロール箱から段ボール箱の代替は、真似するべき脱プラ手法といえるでしょう。

●携帯電話の梱包用プラスチックトレイをパルプモールドトレイへ変更
携帯電話の端末製造メーカーの事例です。携帯電話の梱包材としてプラスチックトレイを使用していたところ、サトウキビの搾りかす「バガス」を成型したパルプモールドトレイに代替しました。端末を入れるプラスチック製の袋は、紙袋に変更しました。また集合梱包で使用している封止テープやラベルについても紙製へと置き換えたことで、完全に脱プラスチックを実現しています。

【成功のポイント】
この事例ではプラスチックゼロを実現しているところに特徴があり、脱プラスチックへの追求の強い意志を感じます。トレイについては、植物性のバガスを利用してトレイを成型するなど耐久性も考えた取り組みがポイントといえます。

●クッキー菓子のプラスチック包装を紙・缶入りへ変更
ある食品製造メーカーは、クッキー菓子のプラスチック包装を紙や缶入り包装に変更しました。製紙メーカーとタッグを組み、共同で紙の仕切りトレイや緩衝材を開発したことで、使い捨てプラスチックの使用量を年間100トン削減できるとの試算を出しています。代替素材としては、サトウキビ由来のパルプモールドや蛇腹状の紙材、紙袋を採用しています。

【成功のポイント】
製紙メーカーと共同開発している点は成功ポイントの一つと言えるでしょう。このように専門的な技術や知見を有するパートナーを見つけることは、脱プラスチックにおいて重要といえます。

3.脱プラスチック実施のための戦略とアプローチ

脱プラスチック実施のための戦略とアプローチ

メーカーが脱プラスチックを実現するためには、戦略的にアプローチし、目標を立てて組織的に達成していくなど、明確な成果を出すことを前提に実施していくことが重要です。

戦略的に脱プラスチックを進めていくためには、特に次の取り組みが重要です。

●脱プラスチックの手法の選択
脱プラスチックの手法は複数あります。プラスチック使用量の削減から製造プロセスの改善、代替材料の選定、技術革新による代替品の開発など自社に最適な手法を選択することが重要です。

特に代替材料の選定については、コストに関わるため、重要視する必要があります。例えばプラスチック梱包を段ボール梱包に変えることで、梱包材の原材料費や使用量の削減が可能になります。ただ代替すれば良いというわけではなく、専門的な知見や加工技術などを駆使して取り組むことで、コスト削減につなげることもできます。

●消費者とのコミュニケーションを重視する
脱プラスチックをひっそりと行うのではなく、積極的に対外的なアピールをしていくことも重要です。消費者にプラスチックごみ問題を知ってもらうことは、日本および世界の脱プラスチックに貢献することになります。また企業は率先して脱プラスチックを実施することで、プラスチックごみ問題の啓発リーダーとしての役割も担うことになります。積極的に消費者とコミュニケーションをとる機会を設けて取り組むことで、企業イメージおよび認知度、売上向上などにもつながっていくでしょう。

4.脱プラスチックの未来と持続可能性への影響

脱プラスチックの未来と持続可能性への影響

EU諸国や米国、アジア各国でも着々とプラスチック規制が進められており、世界的に進む脱プラスチックの波は、今後も大きくなり、加速していくと考えられています。

また、国連環境総会において採択され、現時点で2025年までの締結を目指されている「国際プラスチック条約」では、2040年までにプラスチック製品のライフサイクル全体にわたって海洋をはじめとした環境への影響を削減するなどして、プラスチック汚染を根絶することを目標としています。この条約をもとに、今後、さらに持続可能なプラスチック利用が推進されていくでしょう。

こうした国際的な動きを背景として、グローバル企業を中心として、日本においてもメーカーの脱プラスチックの必要性は増していくと考えられます。さらに代替素材の開発は今後も進んでいくでしょう。

企業をとりまく周辺環境の変化を受け、投資家・顧客からの脱プラニーズも増していくと考えられます。企業は、持続可能な地球環境への責任を果たすべきといえるのではないでしょうか。

5.まとめ

脱プラスチックの現状や事例、アプローチ方法などをご紹介しました。企業は脱プラスチックを進めることにより、サスティナブルな経営を実現できます。特にプラスチックを段ボールへ代替することは、取り組みやすい脱プラスチック手法といえます。

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