漁業分野に期待されるSDGsへの取り組みとは?
海洋プラスチックゴミ対策は
容器・パッケージからも可能

近年、海洋プラスチックゴミ問題がニュースなどで報じられている中、容器やパッケージを取り扱っている場合には、それらのプラスチック利用について考えさせられるものです。
海洋に最も近しい業種である漁業分野では昨今、どのような問題に直面しており、どのようなSDGsの目標達成に取り組んでいるのでしょうか。そこで今回は、漁業分野に期待されるSDGsへの取り組みをご紹介します。

1.漁業分野に関するSDGs

漁業分野においては、SGDsとどのような関わりがあるのでしょうか。

SDGsとは「持続可能な開発目標」のことで、2015年に、国連において地球で暮らし続けていくために立てられた、世界各国が2030年までに達成すべき目標です。17のゴールと169のターゲットが掲げられています。
国はもちろんのこと、企業や組織、そして個人に至るまで、一人一人が自分ごととして取り組んでいく必要があります。そうした中、日本でもさまざまな業種・業界の企業が目標達成に向けて取り組んでいます。

では、そのSDGsの17のゴールのうち、漁業分野においてはどのゴールに貢献できるのでしょうか。最も近しいゴールが、「14.海の豊かさを守ろう」であると考えられます。

●「14.海の豊かさを守ろう」とは

このゴールは、持続可能な社会のために、海と海の資源を守り、持続可能な方法で利用することを目標としています。簡単に言えば、海の生き物と環境を守っていくことを目指すものです。
現在、問題になっているのが、海洋汚染です。世界中の海には毎年800万トンものプラスチックゴミが新たに流れ込んでいるといわれており、このまま推移すると、2050年には海にいる魚の重さよりもプラスチックゴミのほうが多くなるとまでいわれています。

2.漁業分野でSDGsが推進される背景

海洋汚染問題は地球規模の問題であり、課題は大きいものとなっています。このことから、漁業分野では、主に次のことを背景にSDGsへの貢献活動が推進されています。

2-1.海洋プラスチック問題

先述の通り、海洋汚染は深刻な状況です。海洋汚染の原因はプラスチックゴミのほか、海岸等に不法投棄されているゴミも含まれています。また、船舶事故による油の流出も海洋汚染の原因の一つです。これらは海の生態系を脅かし、安全な船舶が妨げられるほか、漁業や観光の衰えや、海岸近くに暮らす人々への悪影響などの問題につながってしまいます。

2-2.サンゴ礁の絶滅危機

サンゴ礁は、海の中で最も多くの生物が集まる、生物多様性に富む生態系といわれており、人間に豊かな漁場を提供しています。しかしながら、すでに世界の3分の1のサンゴの種類で絶滅の危険性が高まっているといわれます。サンゴ礁の衰退は、生態系バランスの崩れと共に、人間にとっての漁業資源や観光資源の喪失につながってしまいます。
その原因として、人間による海洋汚染や沿岸開発、生物資源の乱獲などのほか、ハリケーンによる破壊、サンゴを食べるオニヒトデの大量発生、高水温による白化現象などがあるといわれています。

2-3.水産資源の減少

国際連合食糧農業機関(FAO)によれば、世界の海洋水産資源は生物学的に持続可能なレベルで漁獲されている資源の割合は減少傾向にあるといわれています。
水産資源の減少は、食の供給問題も懸念されますが、小規模漁業の雇用問題についても懸念されています。
FAOによれば、小規模漁業は、世界の捕獲漁業と漁業従事者の90%以上を占めており、その約半数は女性で、全世界の漁獲量の約50%を供給しているとされています。働き手の維持という観点からも、持続可能性が問われています。

3.漁業分野におけるSGDsの取り組み

こうした背景を受け、新たな海洋汚染を防ぎ、SDGsの目標を達成するために、漁業分野においては次のような取り組みが行われています。

3-1.適切な漁業系廃棄物処理

環境省は、「漁業系廃棄物処理ガイドライン」を公表し、漁業系廃棄物等を適正に処理したり、循環的な利用したりするために必要な一連の処理方法を示しています。
廃棄物処理制度によるプラスチックゴミの回収や適正処理を徹底するとともに、ポイ捨てや不法投棄、非意図的な海洋流出の防止を推進しています。
環境中に排出されたゴミについては、まず陸域での回収に取り組み、海洋に流出したプラスチックゴミについても回収に取り組みます。また、海洋流出しても影響の少ない素材である海洋生分解性プラスチックや紙などの開発、及びこれらの素材への転換などのイノベーションを促進していくことも取り組むべき事柄といえます。

3-2.プラスチックゴミの輸入規制への対応

日本は、脱プラスチックを積極的に推進する姿勢を示しています。その背景の一つに、輸入規制があります。中国が2018年1月に廃プラスチックの輸入を制限したことで、中国からの仕向け先の代替地となっていた東南アジア各国でも輸入規制が導入されました。これらの国々への廃プラスチックの輸出ができなくなったことで、日本は国内でプラスチックを処理する必要性が高まっています。

3-3.容器包装の脱プラスチック

日本では、使用後の回収された容器包装プラスチックの半分以上は燃やし、発電や熱利用に使われていますが、焼却や埋め立てることで処分されているものもあります。
業界・業種問わず、プラスチック容器包装を利用する企業は、海洋プラスチックゴミ対策を率先して行う必要があります。そうした取り組みは企業成長につながるため、経済活動の制約ではなくイノベーションとしてとらえるべきといわれています。
プラスチックは「3R(リデュース・リユース・リサイクル)」を進め、有効かつ賢く利用することで、海のプラスチックゴミも減らすことができます。容器包装を取り扱う場合に、脱プラスチックは急務といえます。

4.まとめ

漁業に関わるSDGsに関する課題と取り組みをご紹介しました。特に大きい海洋汚染問題は、漁業に限らず、多様な企業が関係する問題といえます。特に容器包装の脱プラスチックを図ることは、製造業や小売業にとって重要な取り組みといえます。

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日本トーカンパッケージでは、漁業向けに耐水性段ボール、またフィルムを貼った段ボールを取り扱っています。これらの段ボールを発泡スチロール箱の代わりに使用することで、脱プラスチックを図ることができます。容器の脱プラスチックなど、容器包装材の見直しの際にも、ご相談いただければ、お客様のご要望や環境に最も適した段ボールに関するご提案が可能です。

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