物流2024年問題で長距離輸送はどう変わる?
法改正のポイントと具体的対策

物流2024年問題の問題が深刻化していますが、特に長距離輸送について、これまで通りにできなくなる恐れがある点については業界全体で大きな問題となっています。今回は、長距離輸送ができなくなる背景と具体的な対策をご紹介します。

1.そもそも「時間外労働」とは?

物流2024年問題とは、2024年4月1日以降、働き方改革関連法によってドライバーの労働時間に上限が設定されることで生じる諸問題のことです。

具体的には、自動車運転業務の年間時間外労働が上限960時間に制限されることで、ドライバー1人あたりの走行距離が短くなるという問題が生じます。

これを受け、運送業各社はドライバーの長時間労働の見直しを行うだけでなく、これまでと同様に長距離輸送ができなくなることについての対策を早急に取る必要が出てきています。

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2.物流2024年問題で長距離輸送がこれまで通りにできなくなる?

物流2024年問題で長距離輸送がこれまで通りにできなくなる背景について、詳しく見ていきましょう。

●法改正のポイント
働き方改革関連法の施行スケジュールによれば、自動車運転業務は2024年4月1日から時間外労働時間の上限が960時間になります。また月60時間超の時間外割増賃金が25%から50%に引き上げられるのは、2023年4月1日からで、1年早い対応が必要です。


出典:(公社)全日本トラック協会「トラック運送業界の働き方改革実現に向けたアクションプラン」
https://jta.or.jp/wp-content/themes/jta_theme/pdf/rodo/hatarakikata/actionplan_kaisetsu_gaiyo.pdfdetail16_figure.png
●走行距離の減少
法改正によってドライバーの稼働時間が減ることにより、輸送できる距離が必然的に短くなってしまう問題が生じます。

時間外労働の上限規制が適用された後、ドライバーが1ヶ月に働ける時間の目安は「274時間」です。

1ヶ月を4.3週、22日勤務、1日1時間休憩とすると、

法定労働時間172h+時間外労働時間80h+休憩時間22h=274時間

となります。

では輸送距離はどう変わるのでしょうか。

長距離トラックとなると1日600kmは走行する可能性があります。その場合、仮に労働時間が13時間から11時間になり、2時間減少したとすれば、約2割減ですから、480kmとなる計算です。

600kmの目安は東京-秋田間や東京-鳥取間、480kmの目安は東京-大阪間ですから、大きな差が生まれます。

また法改正によって、時間外労働をさせる場合、割増賃金が発生するため、人件費の上昇の課題も生じます。ドライバーの収入減により、ドライバーを続けられない労働者も出てくることから、人材不足も課題として出てくる恐れがあります。

●違反した場合の罰則
もし働き方改革関連法に違反し、時間外労働をさせて長距離輸送を続けるといった場合には、6ヶ月以下の懲役もしくは30万円以下の罰金という罰則があることから、十分注意しなければなりません。

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3.長距離輸送ができなくなることへの対策

長距離輸送ができなくなることへの対策については、主に次のことが考えられます。

3-1.労働生産性の向上

限られた時間の中で、労働生産性を上げることが一つの方法です。例えば、荷待ち時間・荷役時間の削減が挙げられます。具体的には、荷物のパレット化による荷役作業の効率化や、トラック予約システム等のデジタルツールの導入による業務効率化、荷主を除く地点での待機時間の削減などが有効とされています。
また高速道路を有効活用する方法や、納品業務の効率化として、他社との共同配送や中継地を利用する中継輸送、再配達をなくすための宅配ボックスの設置利用などの方法もあります。このほか、梱包から出荷まで、搬入から開封までといった輸送前後の業務効率化も重要になってくるでしょう。

3-2.人材不足対策

人材不足への対策も求められます。最も重視したいのが、労働環境の見直しです。具体的には給与体系を見直したり、年次有給休暇の取得を促進したり、女性や高齢者、外国人の働きやすい環境づくりに務めたりすることが有効とされています。

3-3.モーダルシフトや共同輸送など輸配送形態の切り替え

輸送効率を上げるために、モーダルシフトや共同輸送など輸配送形態の切り替えも一つの方法です。モーダルシフトとは鉄道・船舶等を活用した大量輸送のことで、ドライバーは最寄りの港湾や貨物駅までの輸送で済むため、拘束時間の短縮が可能となります。 また共同輸送では、輸配送の共同化を行うことで、時間や積載効率のロスを削減することができます。

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4.段ボールですぐできる2024年問題対策

物流2024年問題対策として、すぐにでも実施できる対策の一つに、段ボールを活用した方法があります。



●積載効率アップで輸送効率向上
段ボールを工夫することで、積載効率がアップすることによる輸送効率向上が可能になります。積載効率とは、貨物を運ぶトラックの許容積載量に対し、実際に積載する貨物の割合を指します。
例えば梱包する段ボール箱のサイズを最適化することにより、積載効率が向上します。具体的には、コンパクトな仕切を用いたり、効率的な梱包設計を行ったりすることが挙げられます。これらの方法によって段ボールの使用量を削減した梱包を開発して利用すれば、箱のサイズが小さくなることから、より多くの段ボール箱をトラックへ積載できるようになります。

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5.まとめ

働き方改革の改正が適用されることによって長距離輸送がむずかしくなる中、さまざまな対策が講じられています。

ぜひこの機会に、段ボールを活用した対策についてご検討ください。トーカンパッケージは、段ボールを活用した積載効率向上や荷役時間削減のためのご提案が可能です。