物流業界の人手不足問題の原因とは?
具体的な対策方法を解説

近年、物流業界における人手不足が深刻化しています。人材不足を引き起こしている課題と、業務効率化による人手不足の対策についてご紹介します。

1.物流業界の現状と課題

物流業界では、いま多くの課題に直面しているなか、特に人手不足が深刻な課題となっています。

その背景には、巣ごもり需要の影響によるEC市場の拡大や、物流業界の労働人口減少などがあります。

国土交通省の資料によれば、道路貨物運送事業における労働力に関して、2014年度末の消費税増税前を契機に労働力不足が顕在化し、その後も不足感は強まる傾向にあります。さらにトラックドライバーは全産業平均以上のペースで高齢化が進んでおり、高齢層の退職等を契機として今後、さらに労働力不足が深刻化する恐れがあるとされています。

これを受けて、荷主企業、配送企業共に、トラック輸送の生産性向上や物流の効率化により、トラックドライバーの負担を減らす「ホワイト物流」推進や、働き方改革関連法によってドライバーの時間外労働に年間960時間の上限が設けられることで引き起こされる諸問題「2024年問題」への対策の実施が求められています。

※出典:国土交通省「物流を取り巻く動向と物流施策の現状について」
https://www.mlit.go.jp/common/001354690.pdf

2.物流業界における人手不足の原因

物流業界における人手不足の原因として、主に次のような要因が挙げられます。

●労働力の減少
少子高齢化が進んでいることによる労働人口の減少やドライバーの高齢化問題が加速しています。さらに、物流業界は低賃金、長時間労働などの労働環境にも問題があるといわれており、就労希望者が伸び悩んでいます。社会への貢献度の高いとされる物流業界のメリットを訴求するほか、女性が働きやすい環境づくりも求められています。

●アナログ経営によりDX化が進まない
多くの物流関連企業はいまだにアナログ経営が多いといわれており、AIやRPA、IoTなどのデジタル技術を活用して人手不足でも業務効率を上げられるシステムを構築するというDX化がなかなか進まない背景があります。

●残業時間削減・人件費上昇
働き方改革の法改正により、長時間労働の是正によって従業員1人あたりの残業時間が減っています。人手不足の課題がある中で、さらに限られた時間で生産性を上げなければなりません。2023年4月からは、中小企業も月60時間を超える時間外労働に対して法廷割増賃金率の引上げが適用されます。残業時間を減らさなければ人件費が上昇するため、残業時間削減の努力は避けては通れない道となっています。

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●燃料費の高騰による採算の悪化
物流企業に欠かせない燃料費が近年高騰しており、採算の悪化に見舞われている企業は多く存在します。経営状態が悪化すれば、ますます人員採用や確保がむずかしい状況になってしまいます。

3.物流業界の人手不足の対策方法は?

物流業界における人手不足への課題には、次の対策があるといわれています。

●自動化・DX化の促進
物流倉庫内のピッキングにロボットを活用して人による作業を減らしたり、ドローン配送の導入でトラックドライバーを減らしたりなど、デジタル化・自動化・機械化などのDX化を促進することは人手不足の課題解消に有効です。

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●効率的な配送方法への見直し
他社と共同で効率的に輸送や配送を行う「共同輸送」や、トラック輸送を鉄道や船舶の利用へと転換することで環境負荷を低減し、長距離の一括大量輸送によって効率化も図ることができる「モーダルシフト」といった、効率的な配送方法への見直しも一つの方法です。

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●幅広い人材を採用する
採用する人材の幅を広げるのも一案です。女性、シニア世代、外国人労働者の積極的な採用、人材派遣やクラウドソーシングの活用などが考えられます。

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●労働環境の見直し・整備
労働時間や賃金の改善も重要視されています。
例えば福利厚生の見直しや、トラックバース(倉庫におけるトラックの荷積のための駐停車スペース)予約管理システムなどのIT導入、リードタイムの見直しによる業務効率化、適正な労働時間のシフト体制管理、事務作業従事者のリモートワークの推進などが考えられます。
重要なポイントは、いかに有効な業務改善を行うかという点にあります。

4.トラック積載率向上と梱包作業の見直しで、業務効率化を実現

一つ一つの業務を改善していくことで業務効率化を実現することも、人手不足対策の一助となります。そこでおすすめなのが、トラック積載率の向上と、梱包工程の見直しです。

●トラック積載効率向上
段ボール箱のサイズを、パレットのサイズに合わせるなどしてトラック積載効率の向上を図ります。トラック一台当たりにより多くの荷物を積むことができれば、業務が効率化します。
段ボール箱は設計次第でパレットや製品に最適な形状にすることができます。

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【事例】
コンビニエンスストア向けカップ飲料の商品を段ボール箱に詰める際に、内部の配置を変更することで、一箱当たりの商品の積載効率を向上させることができました。更に転倒防止にも効果があり、付属資材の削減が可能になりました。

●梱包作業効率化
段ボール箱による梱包作業の際、段ボール箱の組み立てを自動化することで、少ない人員でも効率化を図ることができます。
例えば、日本トーカンパッケージの「トーカンエコパシリーズ」は、製函という段ボール箱の組み立てをサポートする各種製函機のご提案をしております。手動(マニュアル)、半自動(セミオート)、自動(フルオート)の種類をご用意しており、事業フェーズに最適な製函機を選択できます。また手厚い導入サポートで容易に導入できるのもおすすめのポイントです。

【事例】
EC業界のお客様にて、当社の製函機の一つ「エコクイックBOX」導入により作業効率が50%アップしました。
手作業による箱組みを行う場合は1ケース当たり約14秒かかっていたところ、冶具による箱組みでは1ケース約7秒と約半分の時間に短縮できました。

5.まとめ

物流業界の人手不足は、年々深刻化するなかで、特におすすめの対策が、業務改善です。当社では梱包作業の業務改善のお手伝いが可能です。ぜひお気軽にご相談ください。