物流2024年問題
~荷主企業のリスクと対策とは?

物流業界では、物流2024年問題が大きな問題となっており、より深刻化しています。配送会社だけでなく荷主企業にも問題への急速な対策を講じることが求められています。そこで今回は、物流2024年問題における荷主企業のリスクと対策についてご紹介します。

1.働き方改革法改正への対応は荷主側も必要に

働き方改革法が改正され、2024年4月から、ドライバーに対する時間外労働の規制が強化されます。こうした中、物流業界では輸送量の減少や物流コストの高騰などの諸問題が生じます。

2023年1月17日に経済産業省、国土交通省、農林水産省によって開催された「持続可能な物流の実現に向けた検討会」の第5回検討会の中間とりまとめでは、物流業界の諸問題を受け、「運びたくても運べない」状況を防ぐために、荷主側の企業にも法律上の規定を設け、物流の効率化に取り組むことなどを盛り込みました。

もし取り組みが十分ではない場合には、荷主企業へ是正勧告といった措置の検討もすべきという方針も示されました。これにより、荷主企業は十分な対応を検討しなければなりません。

2.そもそも物流2024年問題とは?

先述のように、ドライバーに対する時間外労働の規制が強化されることなどに伴う諸問題のことを「物流2024年問題」と呼びます。

2024年4月から自動車運転業務の年間時間外労働が上限960時間に制限されることで、輸送量の減少に伴う長距離輸送の業務の低減、ドライバーの収入減に伴う人材不足のほか、2023年4月からは、中小企業の割増料金が25%から50%へと引き上げられるため、人件費増しにより利益が減少する恐れがあるなど、運送会社にとって大きな危機となることが懸念されています。

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3.物流2024年問題が及ぼす荷主企業への影響

物流2024年問題が懸念されるのは、運送会社だけではありません。荷主企業への影響も懸念されています。

●物流コストの高騰
時間外労働の上限規制や割増賃金率の25%から50%にアップすることを受け、物流業界の人件費が高騰する恐れがありますが、それに伴って、運賃の値上げが起こる可能性があります。

●長距離輸送やリードタイムの制限
時間外労働の上限規制を受け、長距離輸送が困難になり、長距離輸送そのものを受けない配送会社が出てくる可能性もあるため、荷主にとって物流機能そのものが危ぶまれてしまいます。荷役時間などのリードタイムの削減も求められます。

●集荷時間の前倒し
短時間化が求められる中、集荷時間の前倒しをする必要性も出てきます。夕方以降は集荷しない配送会社が出てくる可能性もあり、荷主企業も調整が必要になります。

●荷主勧告制度の遵守
我が国には、荷主勧告制度があります。これは、貨物自動車運送事業法第64条に基づく制度で、トラック運送事業者の過積載運行や過労運転防止のために、荷主は国土交通大臣による勧告と公表が行われます。
勧告対象となるのは、例えば、非合理的な到着時間を設定したり、やむを得ない遅延に対してペナルティを設定したり、積み込み前に貨物量を増やすような急な依頼、恒常的に長時間の荷待ち時間を発生させたりすることなどが挙げられます。
当然のことながら、物流2024年問題の影響下にあっても、これらの行為は許されません。これまで以上に留意して遵守する必要があります。

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4.荷主企業が取り組める物流2024年問題対策

こうした影響を受け、荷主企業は自ら対応策に取り組む必要性が出てきています。その主な対策について、次のようなことが考えられます。

●物流効率化
荷主企業ができる範囲の、物流効率化が求められます。例えば、待機時間の短縮や荷役時間の削減です。そのためには、ドライバーの荷待ち時間の管理をツール化して共有する仕組みを作ったり、発荷主の生産・出荷スケジュールや附帯作業などを検証し、効率化したり、集荷ボックスを設置したり、受け入れ体制や附帯作業などを検証し、長時間労働や荷待ち時間等がどこで発生しているのかを知り、ボトルネックとなっている部分を調査してその原因を取り除くことなどが求められます。

●倉庫拠点の導入
荷主企業が用意する倉庫を調整することも一つの方法です。複数の倉庫を経由して集荷を行わなければならないケースでは、倉庫を集約したり、倉庫を増設したりすることにより、荷待ち時間を削減できます。

●パレットの活用
荷物を個別にトラックへ積み下ろしするよりも、パレットに積載して 、パレットごと積み下ろしするほうが、荷役作業時間の削減につながります。

5.段ボールですぐできる2024年問題対策

物流2024年問題対策として、すぐにでも実施できる対策の一つに、段ボールを活用した方法があります。

●積載効率アップで輸送効率向上
積載効率を向上させることで、輸送効率向上が可能になります。積載効率とは、貨物を運ぶトラックの許容積載量に対して、実際に積載する貨物の割合です。積載効率を向上させる方法は複数ありますが、そのうちの一つに梱包する段ボール箱を工夫することがあります。

コンパクトな仕切を用いたり、効率的な梱包設計行って段ボール使用量を削減した段ボール箱を開発したりして利用段ボール箱のサイズを最適化すれば、積載効率向上が実現します。これにより、多くの段ボール箱をトラックへ積載できます。

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6.まとめ

物流2024年問題は、配送会社への影響に留まらず、荷主企業にも大きな影響が及びます。今回ご紹介した方法をはじめとした、さまざまな対策を実施する必要があります。

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